地域や世代を超えて!人と三重県南部地域とを繋ぐ「度会県(わたらいけん)」のイベントに参加してみた

2020.1.24

お散歩好きライター こうけつ けんと

全員写真

昔住んでいたり、旅行で行ったことがあったりする地域でも、その後なかなか関わる機会がないな…ということはありませんか?

移住や観光だけではなく、地域に関わることができる「度会県(わたらいけん)」という取り組みが三重県にはあるとのことで、そのイベントに参加してきました。

度会県とは“できる人ができる範囲で地域を応援する。地域に関わる”がコンセプトの三重県の関係人口創出事業プロジェクト。

三重県内でも若い世代の人口流出や高齢化が特に進行する南部地域を対象として、明治150年となる平成30年に、明治初期に実在した『度会県』をバーチャル上で復活させ、地域住民と“関係人口(観光以上、定住未満で地域に関わる人々)”による、地域づくりを促進する取り組みです。

それでは、人と三重県南部地域と繋がることができるイベントをご紹介します。

 

■地域の方と交流を楽しむ!米農家の餅つきイベントに参加して見えた地域の可能性

三重県内で、美味しいお米の産地として知る人ぞ知る度会町。“お米”を通じて、農業の現場と地域の暮らしを知ることをテーマにしたイベントに参加してきました。誰でも参加できるイベントなので、私のように県外からの参加者、初めて度会町に来たという方もいました。参加者には名札が配られ、初めて参加する方でも交流しやすいような工夫がされていました。

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今回のイベントを開催したのは、米農家で「おんじ屋」を営む陰地(おんじ)さんご夫妻。おんじ屋では、お米の生産やオンラインショップでの販売を行っています。「○○農園」ではなく「おんじ屋」とした理由は、農産物だけでなく陰地さんご夫妻もまるごと親しんでいただこうという想いからだそう。

参加者は、宮リバー度会パークに集合してから会場であるおんじ屋に移動しました。

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おんじ屋に行くと、さまざまな年代の地元の方の姿がありました。

「1家族でやろうと思うと重労働だから、昔は近くに住む人と協力してよく餅をついたな」「度会町のもち米は、粘り気が強くて甘いのが特徴。おろし醤油で食べるとうまくて好きなんだ」という会話を楽しみながら、餅つきのはじまりを待ちます。

以前は餅つきを通じた地域の交流、家族や親戚との交流が盛んだったんでしょうね。このような関わりの場は、地域の人同士はもちろん、県外から来た私にとっても心温まる時間でした。

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会話を楽しんでいる間に、もち米が蒸しあがりました。

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昔ながらの杵(きね)と臼(うす)を使った餅つき。「お米が飛び散らないように、最初は軽くつくといいよ」と、餅つきに慣れた地元の方からのアドバイスも。こうやって、地域の暮らしが語り継がれていくんですね。

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みんなが餅つきを見守ります。

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私も餅つきにチャレンジ! 小学生の頃に餅つきをしたことはありますが、約15年ぶり。当時は杵が重くてうまくつくことができませんでしたが、今回は「よいしょー!」という一体感ある掛け声と、地元の方のアドバイスもあって個人的には満足の餅つきができました。

つけばつくほど、どんどんお米の粒の形がなくなり、粘り気が増してきます。

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親子で餅つきにチャレンジしている方も! つきたてのお餅がこんなにも伸びるのかとびっくりの様子。

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おんじ屋の加工場で、つきたてのお餅をみんなで「熱っ!」と言いながら食べやすいサイズに丸めていきます。大人の方に丸め方のコツを教えてもらいながら、子どもたちも一つずつ丁寧に丸めていました。この空間にさまざまな年代の方が集まれる、というのが地域ならではの良さかもしれません。

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たくさんのお餅が完成。実際はこの板3枚分くらいのお餅ができました。

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あんこやきな粉などの味付けがありましたが、きな粉をつけていただきます。

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使っているもち米の美味しさ、つきたてであること、いろいろな世代の方で集まってお餅をついた楽しさも重なって、今まで食べたお餅の中で一番おいしく感じました!

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写真左:伸哉(しんや)さん、右:盛希(さとみ)さん

陰地さんご夫妻にもお話を伺いました。自分たちの手でこだわりのお米を作りたいという想いから、度会町に移住をされて約6年。今はもちもち食感が特徴の“ミルキークイーン”という品種にこだわって生産をされているそう。

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「お米が苦手という子が、『ふりかけをかけなくてもそのまま食べられる』と言ってくれたり、ご年配の方が、『食欲がなくてもこれは美味しく食べられる』と言ってくれたり。実際に食べてくださった方の声が聞けるのは嬉しいですね」と盛希さん。

これからは新しいお米の品種や、9月に生産したお米などをお餅などに加工することができるよう加工場を作ったので、新しい商品づくりにもチャレンジしていきたい、と今後の展望についても教えていただきました。おんじ屋から生み出される商品、楽しみですね。

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陰地さんお気に入りの近くに流れている宮川の景色。水がとっても澄んでいて空がきれいに反射して見えます。このきれいな水が度会町のお米作りを支えているんでしょうね。

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最後にみんなで集合写真を撮影。私は最近仕事関係の方や、家族、地元の友人など関わる人がほとんど同じだったのですが、新しい地域やコミュニティに飛び込んだ新鮮さと、どこか昔懐かしさを感じる素敵な時間を過ごすことができました。

最初は楽しそうなイベントだなという興味から参加してみましたが、担い手不足から耕作放棄地が増える中、若手農業者として頑張る陰地さんご夫妻の姿や、地域の暮らし等の魅力や可能性を感じることができました。

今回のおんじ屋のように、度会県プロジェクトでは、地域や地域の人と関わることができるイベントが開催されます。イベントの開催情報については度会県のホームページをチェックしてくださいね。

 

■三重の特産品と一緒に!食を通して地域と繋がる「県民の集い」に参加

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続いては、“地域の人が育む食の魅力発信”をテーマとしたイベント「県民の集い」をご紹介します。

この県民の集いは、実は度会町のイベントの前週に開催されました。

今回のイベント会場は大阪。遠方の方々に、まず三重県南部地域の魅力を知ってもらうため、大阪だけでなく東京でもこのようなイベントが開催されています。

三重県自体や、度会県の取り組みに興味のある方など、約20名の参加者が集いました。

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参加者の中には、イベント当日の朝にSNSで「おすすめイベント」として表示され、「おもしろそう!」と飛び入り参加した熊本在住の方もいらっしゃいました。

写真左:三鬼さん、写真右:田所さん

ゲストは、尾鷲市の地域おこし協力隊で「カフェ マドロス」を営む三鬼早織(みき さおり)さんと、南伊勢町でみかん農家「アサヒ農園」を営む田所一成(たどころ かずなり)さんの2名。

2部制のイベントになっていて、1部はゲストのお二人からのお話、2部は三重の美味しい食をいただきながらゲストとの交流という構成でした。

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まずは三鬼さんからのお話。三鬼さん自身は静岡県の生まれですが、父の出身地だった尾鷲市に地域おこし協力隊として移住し、漁村にただ1つの飲食店であるカフェ マドロスを経営しています。

カフェマドロス
提供:カフェ マドロス

地元の方と一緒に閉店していたお店を改装して、海が見えるおしゃれなカフェ マドロスが完成。海を眺めながら、地元のものを中心に使った美味しいお料理をいただくことができます。

この地域に飲食店ができたことで、普段漁に出ていて会うことがなかった旧友とカフェ マドロスで何十年ぶりに再会した、というエピソードも。地域の人が集う場になっているんですね。

提供:アサヒ農園

続いて田所さんのお話。農家の5代目である田所さん。実は、大学を卒業して県内の企業に就職していました。

「子どもの頃、学校が休みでも遊びに連れて行ってもらえんかったし、農家って大変そうやなと思ってた。だから、おやじのことをかっこいいとは思ってなかった。けど、高校生くらいからうちで作る“内瀬(ないぜ)みかん”は美味いということはわかっていた」と田所さん。

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就職した企業でしばらく働いて、今後の働き方を考えた時に、「みかん作ってみようか」と思い、アサヒ農園を継ぐことになります。負けず嫌いという田所さんは「このおいしいみかんをもっと広めたい!」と、ホテルやスイーツのお店など販路を広げるために、自らいろいろなお店を巡ったり、知人に紹介してもらったりしたそう。

しかし、ただ広めるだけではありません。みかんのできがよくないと思えばそのことを取引先に伝えること、実際に食べてみてもらうことを大切にする、というのが田所さんのこだわり。美味しいみかんを見極めるコツも話していただいたりして、作り手としてのこだわりに感動しました。

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三鬼さんや田所さんの生い立ちや今の取り組みについて伺ったところで、第2部の交流会へ。お待ちかねの三重の食を味わいます!

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アサヒ農園で作る色鮮やかな内瀬みかん。とってもジューシーで、甘みが強いみかんでした!

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こちらはカフェ マドロスのキッシュ。地元の魚と海苔を使ったキッシュは、一口食べれば海の香りが口いっぱいに広がりました。

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飲み物は、熊野市のみかんジュースに、大台町や度会町のお茶が用意されていました。

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その他には、伊勢市の名物である美味しいお餅などもありました。

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「こんなオシャレなカフェがあるなんて知らなかった」「お話を聞いて遊びに行ってみたいと思いました!近くに泊まる場所はありますか?」など、この美味しいお食事が、楽しい会話を後押ししてくれます。

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「たぶんこっちの方が美味しいはず!」と参加者のみかんと交換する田所さん。皮のきめが細かなみかんはストレスがかかっている証で、酸味と甘みが強く、1週間ほど寝かせると酸味が和らいで甘く感じるそう。

「若い世代が見た地域の魅力の発信が大事。そのためにまずは知ってもらうこと、若い世代の子が仕事がしやすい場を作ること、自分ができることをやっていかんとね」とインターンシップ生などの受け入れも田所さんは行なっています。

漠然といろいろな地域に関わりたいなと思っていた私は、三鬼さんや田所さんの取り組みや想いをうかがって、すっかりお二人のファンになってしまいました! まずは三重県南部地域の魅力を知ることで、次は現地で度会県の取り組みに参加してみたくなりました。

実際に今回のイベントがきっかけで現地に行く計画を立て、翌週の度会町のイベントに参加された方もいました。

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また、今回の「県民の集い」では、“度会県オリジナル一筆箋”のお披露目がありました。

度会県オリジナル一筆箋とは、日本郵便株式会社と三重県との包括連携に関する協定により、明治時代に作られた日本初の郵便はがきをモチーフに制作されたもの。日本郵便株式会社東海支社の佐々木忠広(ささき ただひろ)さんからご紹介がありました。

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一筆箋は数量限定で、今後の度会県のイベントで参加者に配布されます。

個人的には、メールなどでの連絡が増え、自分で文字を書いて手紙を送る、ということがほとんどなくなったように思います。今回のイベントで一筆箋をいただいたことをきっかけに、家族や大切な方に手紙を送ってみようと思います。

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配布された一筆箋に参加者が感想を書く時間があり、度会県への思いをしたためていきました。

度会県民募集チラシ(写真モード)(5)

参加した2つのイベントを通じて、地域で生活をされている方や地域に移住して活躍されている方との交流は、移住でも観光だけでもなく、さまざまな関わり方があるんだと気づかせてくれました。

度会県の取り組みが生み出す“関係人口”という存在が、これからの地域を支えていく一助になっていくかもしれませんね。

この取り組みに興味がある方は、ぜひWEBで「度会県民」の登録手続きをしてください。度会県民になると、WEB上で県民証が届き、今後のイベント情報がご自身のメールアドレスに配信されます。

ぜひ皆さんも、度会県民になって情報を得て、三重県南部地域の取り組みに参加してみませんか?

 

(掲載情報は、すべて令和元年12月時点のものです)

<今回の取材先はこちら>

★度会県
HP:https://wataraiken.com/

 

★度会県民登録ページ
HP:https://wataraiken.com/lp/

 

★おんじ屋
住所:度会郡度会町棚橋865-2
電話:090-1740-3168
営業時間:8:00~19:00
定休日:日曜日
HP: https://onjiya.com/  

 

★カフェ マドロス
住所: 尾鷲市三木浦町273-13
電話:070-4481-9432
営業時間:10:00~18:00
定休日:日・月・火・水曜日
HP:https://www.facebook.com/matroos.mikiura

 

★アサヒ農園
住所:度会郡南伊勢町内瀬202
電話:0599-65-3107
営業時間:8:30~17:00(12:00~13:00は昼休憩)
定休日:日曜日、不定休あり
HP:http://www.naizemikan.com/index.htm