映画「浅田家!」のロケ地にも! 津市の魅力を満喫できるスポットとは?

2020.10.16

田舎やのんびり日帰り取材が多いスローライター 松本光範

2020年10月2日に公開された映画「浅田家!」。二宮和也(にのみや かずなり)さん演じる主人公の写真家・浅田政志(あさだ まさし)さんは三重県津市出身。映画には浅田さんのストーリーを語る上で欠かせない、津市のさまざまなスポットが登場しました。そこで、実際にロケ地を巡り、津市の魅力をあらためて体感! さらに、映画クルーも味わった地元グルメ店や、ロケ地選定に尽力した津フィルムコミッション「ロケっ津」にも取材して、貴重な裏話も伺ってきました。※記事中の価格は税込み

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・津市出身のカメラマン・浅田政志さんが映画に
・「浅田家!」のロケ地を巡ろう
・俳優陣も食べたかも!? 津市の名物グルメ
・津フィルムコミッション「ロケっ津」に映画の裏話を聞きました

津市出身のカメラマン・浅田政志さんが映画に

消防士や選挙活動、戦隊ヒーローなど、さまざまなシチュエーションを設定して、両親、兄と一緒にコスプレした姿を撮影した写真集「浅田家」。この作品で〝写真界の芥川賞〟とも言われる「木村伊兵衛(きむら いへい)写真賞」(2008年度)を受賞した浅田政志さん。映画「浅田家!」では、その写真集をモチーフに、浅田さんと家族とのかかわり、写真家としての活動などが描かれています。映画では、写真集に登場するシーンを忠実に再現。そのため、ほぼ全編の撮影に浅田さんが帯同し、監修しています。

©浅田政志  発行:赤々舎

「浅田家!」のロケ地を巡ろう

まずは撮影が行われた津市内のスポットを紹介します。有名な寺院や知られざる名所がいっぱいあるので、ロケ地を巡ることで、津市の魅力を再発見することができますよ。

高田本山 専修寺(たかだほんざん せんじゅじ)

左が如来堂(にょらいどう)、右奥に見えるのが御影堂(みえいどう)。いずれも高さ25mを超える大スケール

親鸞聖人(しんらんしょうにん)の教えを受け継ぐ、真宗高田派(しんしゅうたかだは)の総本山として知られる専修寺。如来堂と御影堂は、2017年に三重県初の国宝建造物に指定されました。御影堂は、江戸時代に建造された木造建築物としては、全国でも5本の指に入る大きさです。

こちらの御影堂の前では、二宮和也さん演じる政志と、妻夫木聡(つまぶき さとし)さん演じる政志の兄・幸宏(ゆきひろ)が参拝するシーンが撮影されました。左に写っている灯籠の位置より少し手前、参道の石畳の途中にある段差の上に立つと、まさに映画と同じ立ち位置! ちなみに映画では、時代設定が、まだ専修寺が重要文化財だった頃のため、国宝の木札を掛けかえて撮影したそうです。

御影堂に訪れたら、ぜひ中にも入ってみてください。外観は重厚で落ち着いた印象ですが、中は一転してきらびやかな雰囲気に。畳780枚分もある広々とした空間は、至る場所が金箔(きんぱく)で装飾されていて、天井画や緻密な彫刻など、装飾も多彩。その美しさは、時間を忘れて見入ってしまうほどです。

この迫力ある山門も映画に登場しました。ほんの一瞬でしたが、存在感は抜群。門の向こうに見える御影堂とあわせて写真映えバッチリです。

津市中消防署(つしなかしょうぼうしょ)

写真集「浅田家」の表紙にもなっている、消防士のシチュエーションを撮影した中消防署です。

私、なんと特別に防火服を着用させていただきました! さらに消防車の撮影も。この写真、映画や写真集のシチュエーションをかなり正確に再現しているので、ぜひ確認してみてください。ロケ地巡りで訪れる際は、外観を撮影する程度にとどめて、業務の邪魔にならないよう気をつけましょう。車で行く場合は、近隣のコインパーキングなどを利用するのがオススメです。

阿漕浦(あこぎうら)海岸~堤防~津ヨットハーバー

阿漕浦海岸の堤防では、政志が釣りをするシーンや、黒木華(くろき はる)さん演じる政志の幼なじみの川上若奈(かわかみ わかな)とのシーンが撮影されました。海からの潮風が心地よく、散歩にもちょうどいいスポットです。政志と若奈が遊んだ海岸など、阿漕浦海岸には、徒歩圏内にいくつもロケ地があるので、駐車場に車を停めて歩いて巡るのがオススメ。かなりの高さがある堤防なので、くれぐれも足元に気をつけてください。

津ヨットハーバー。この駐車場で選挙運動のシーンを撮影したそうです。昼間のシーンでしたが、撮影をしたのは夕方。暗くなっていたので照明を明るくして、昼間の雰囲気にしたのだそう。そんな裏話を知っていると、映画がより楽しめますね。

津観音(つかんのん)

「津観音」の正式名称は「恵日山観音寺大宝院(えにちざん かんのんじ だいほういん)」。東京の「浅草観音(あさくさかんのん)」、名古屋の「大須観音(おおすかんのん)」とならび、日本三観音のひとつに数えられます。こちらでは子ども時代の浅田兄弟の撮影が行われました。 

津新町(つしんまち)駅

「近鉄津新町駅」の駅西側では、上京する政志を両親や兄が見送るシーンが撮影されました。撮影されたのはロケの最終日、かつ、人が集まる駅前ということもあり、大変多くのギャラリーが集まったそうです。

俳優陣も食べたかも!? 津市の名物グルメ

たくさんのご当地グルメがある津市。ロケ地巡りにオススメのお店を紹介。キャストやスタッフが撮影中に食べたかもしれない、ご当地メニューを味わって、より映画の世界を満喫しましょう。

天ぷら さか本

1971年創業の天ぷら店。もとは寿司屋だったこともあり、先代が「天むすを太巻きにしたらどうか」と発案して生まれたのが津市名物の「天まき」です。以来、「天まき」は市内で広がりご当地名物に。「天ぷら さか本」は発祥の店として有名になりました。「天まき」のほか、創業以来、継ぎ足しで作り続けている秘伝のタレで味付けした天丼など、さまざまなメニューが楽しめます。

天まきは店内740円、テイクアウト720円

名物の天まきは、えび天と大葉をごま塩ごはんで巻いたもの。あっさりとした塩味ごはんとえびの食感、大葉の風味は、素朴ながらバランスよく、飽きのこない味です。えびが大きい上天やいか天、穴子などを巻いたものもあります。

「天ぷら さか本」二代目店主の坂本晃(さかもと あきら)さんと公子(きみこ)さん

◇映画の撮影に協力されたそうですね

公子さん「スタッフさんの休憩場所として、お店の2階と3階をお貸ししました。2階はキャストさんの控室として、実際に主要キャストの皆さんが利用されていました。気さくでとてもいい方々でしたよ。当日はスタッフみなさんの食事にと、天まきを100本ほど作らせていただいたので、もしかすると二宮さんも食べてくださっているかもしれないですね」

◇当日は駅前にギャラリーが押しかけて大変だったそうですね

公子さん「ロケ最終日で駅前ということもあって、多くの人が撮影の見学に来られていました。また、ちょうど高校受験の日だったので、受験終わりの中学生たちと鉢合わせてしまって、すごい混雑に。でも、それも、とてもいい思い出になりましたよ」

キャストの控室として提供した2階。個室はメイクルームや衣装部屋として使われたそう。実際にキャストが座られた席も、この中にあるそうです。

蜂蜜まん本舗(はちみつまんほんぽ)

1953年創業、現在は3代目が切り盛りする津市の名物まんじゅう「蜂蜜まん」。養蜂家だった初代が、もっとハチミツに親しんでもらおうと製造したもので、こしあんの甘味とハチミツの風味がほどよいバランスで味わえるまんじゅうです。現在、イートインは休止しているので、テイクアウトでの購入のみ。こちらの本店は売り切れ次第閉店になります。津駅東口でも販売しています。
撮影時は、今回取材もさせていただいた津フィルムコミッション「ロケっ津」が、撮影クルーへの差し入れに購入したそうです。

生地は外カリッ、中はモチモチ食感の生地にこしあんが入った「蜂蜜まん」テイクアウト1個60円

津フィルムコミッション「ロケっ津」に映画の裏話を聞きました

過去何作も映画が撮影されている津市。ロケの候補地選定や撮影時のサポートを行うのがフィルムコミッションです。今回「浅田家!」の撮影に関わった、津フィルムコミッション「ロケっ津」の髙垣和郎(たかがき かずお)さん、原田浩治(はらだ こうじ)さんのお二人に話を伺いました。

「ロケっ津」代表の髙垣さん(右)と原田さん(左)。髙垣さんは、映画のプロデューサーとして活躍後、津市にUターン。現在は、三重県の特産品を県外に売り込むコーディネーターをされています。原田さんは、市役所に勤務するかたわら、精力的にロケ地を探す「ロケっ津」の実働隊長。ご当地グルメ「津ぎょうざ」をPRする「津ぎょうざ小学校」など、数々の街づくり団体でも活躍しています。

◇「ロケっ津」の成り立ちについて教えてください

原田さん「きっかけは『嵐』出演の映画『黄色い涙』です。当時、津市の観光振興課に撮影の相談がきた時はフィルムコミッションがなく、ロケ地選定などの対応が大変だったのですが、有志に声をかけてなんとか映画のロケ対応をいたしました。その取り組みが地域活性につながったので、じゃあ正式にやろうと、2009年にこの団体を立ち上げたんです」

髙垣さん「映画のロケ地になると街が盛り上がるので、津市としてはぜひ受け入れたいんですね。でもロケ地候補も多数あるので、競争が激しいんです。年に何回かロケハンの手前まで話が進んでも、ロケに結びつかないことの方が多いんですよ」

◇さすがに今回は、浅田さんの出身地だけあって津市での撮影は決まっていたのでは?

髙垣さん「いえ、ロケ地にならない可能性すらありました(笑)。映画『浅田家!』は東北でのエピソードが多くて、津市はあまり登場しなくても映画としては成立するんです。消防署の写真でも、他の消防署で撮ろうと思えば撮れますしね」

原田さん「でも今回は、浅田政志さんの出身地ということもあり、ぜひ津市で撮影してもらいたいという、地元の意地がありました(笑)。ワンシーン、ワンカットでも多く撮影してもらうために“こんな場所もありますよ”と市内を走り回りまわってロケハンしたんです(笑)。写真集では小学校で行われた撮影も、当時の校舎は塗り替えられていたので、津市センターパレスというホールで撮影するという代替案を出したり。また、浅田さん自身も、『津カルタ』の撮影や写真展の開催など、以前から地域を盛り上げる取り組みに協力していただいているので、そうしたつながりがあったからこそ、撮影が実現できたんだと思います」

津市の名所や文化をテーマに、津市民が絵札のモデルを務めた「津カルタ」。写真はすべて浅田さんが撮影。絵札には元レスリング選手で三重県津市出身の吉田沙保里さんや、鈴木英敬三重県知事も登場

◇お二人の努力があってこそ津市が舞台になったんですね。ちなみに大変だったことやハプニングなど、映画の裏話は?

原田さん「中消防署には、写真集を撮影した当時の消防車が残っていました。ロケハンをした時に、映画クルーのみなさんも“これはいい!”と即決。署長も好意的でありがたかったです。ただ一番苦労したのが防火服。写真集撮影時は銀色でしたが今は青色に変わり、性能もよくなっているんですよ。以前の服は、署員が個人的に保管しているかもということで、声掛けをして頂いたら、みなさん、いざという時のために残されていて。必要なのは4着だけだったんですが、20~30着も集まりその熱意に感動しました。」

髙垣さん「阿漕浦海岸での撮影も印象に残っています。重要なシーンを、1日半ほどで撮影したのですが、待機場所から、撮影を行う堤防までが非常に遠くて。なので、キャストさんもスタッフさんも、ロケっ津が用意した自転車を使って、堤防の先まで入れ替わり立ち替わり移動しながら撮影していました。撮影がのびて最後は日が落ちてしまったんですが、ライティングを駆使して、昼間や夕方のシーンとして撮影。真夜中でも夕方の明るさになっていたので、照明の技術はすごいなと感じました」

◇「浅田家!」をきっかけに津がもっと盛り上がりそうですね

原田さん「映画で津市に興味をもった人に来てもらい、さらにいろいろ知ってもらうために、ロケ地マップ作りにも協力しました。ぜひ手にとって、ロケ地を巡ってもらえたらと思います。ちなみに、掲載されているグルメ系のお店は、スタッフ弁当(ロケ弁)をお願いしたり、私が差し入れに持っていった店ばかりなので、実際にキャストさんが訪れたわけではないお店もあります(笑)。でも、きっとキャストさんも同じメニューを味わったことと思いますよ」

◇最後に今後の「ロケっ津」としての展望を教えてください

原田さん「これまで何本も津市での映画のロケに携わってきました。監督やスタッフさんから“ここで撮影してよかった”という声もたくさん頂きましたし、映画があったからこそ地域の人たちとの絆が深まり、津市の活性化につなげられたと感じています。ひとつの映画が終わっても、僕たちと地元の人たちとの関係性は継続していくので、今後も多くの人に地域愛を持っていただき、ロケ対応をはじめとするまちづくり活動に協力してもらえるネットワークを築いていきたいですね」
髙垣さん「映画のエンドロールなどで会社名や団体名が出ると、それが自信にもなるし、街の盛り上がりに直結します。そういう意味でも、映画を撮ることが地域のアイデンティティになると思うんです。この活動を大事にしていきたいですね」

「浅田家!」の舞台となった津市ですが、ここで多くの撮影が実現したのは「ロケっ津」の尽力があったからこそなんですね。みなさん、ぜひ一箇所でも多くロケ地に足を運んで、映画「浅田家!」の雰囲気を直接感じてもらうとともに、津市のいろんな魅力にも触れてみてください。街が盛り上がれば、また津市が舞台となる映画が生まれるかもしれません。

■津市制作 映画「浅田家!」ロケ地紹介サイト
ロケ地やグルメマップをチェックできます。
https://www.info.city.tsu.mie.jp/www/sp/contents/1598260236956/index.html
(掲載情報は、すべて2020年9月時点のものです)

<今回紹介した施設はコチラ>
高田本山 専修寺(せんじゅじ)
住所:津市一身田町2819
※JR一身田駅から徒歩5分
電話:059-232-4171
URL:http://www.senjuji.or.jp
津市中消防署
住所:津市寿町14-20
阿漕浦海岸周辺
住所:津市柳山津興
津観音
住所:津市大門32-19
電話:059-225-4013
URL:https://tsukannon.com
津新町駅
住所:津市新町1-5-35
天ぷら さか本
住所:津市新町1-5-27
※近鉄津新町駅から徒歩すぐ
電話:059-228-7791
営業時間:11:30~15:00(LO14:15)、17:00~22:00(LO21:15)
定休日:火曜
URL:https://tenpurasakamoto.gorp.jp/
有限会社蜂蜜まん本舗
住所:津市大門8-5
※近鉄津新町駅から徒歩25分
電話: 059-228-3012
営業時間:9:45~売り切れ次第閉店
※津駅販売所は10:00~17:00
定休日:水曜日、第4木曜

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