高校生のアイデアで地域資源が華麗に変身!?グルメに美容も、地域を盛り上げる取り組みとは

2020.2.21

旅人ライター 南谷有美

海に山に、自然豊かな三重県は地域資源も豊富。そんな地域資源をより多くの人が身近に感じられるような取り組みが、高校生のアイデアによって形になってきています。今回は、地域の特産品を使ったレシピや美容品を開発したり、地域の特産品を集めてオリジナルギフトを作ったり、といった取り組みを行っている高等学校3校をご紹介します。

高校生のアイデアによって、どのように地域を盛り上げる取り組みが行われているのか、ぜひご覧ください。

 

■食で地域を元気にする!四日市農芸高等学校の取り組みとは

四日市農芸高等学校(以下、四日市農芸高校)は、三重県四日市市にある県立の高等学校です。「ご当地!絶品うまいもん甲子園(以下、うまいもん甲子園)」に毎年参加していて、過去2回準優勝を果たしています。そんな食で地域を元気にしている四日市農芸高校の取り組みについて伺ってきました。

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約720名在籍する四日市農芸高校は5学科に分かれ、植物の栽培や調理・加工、販売だけでなく、造園や服飾、福祉に至るまで、幅広く専門的な知識を学んでいます。

まずは、うまいもん甲子園に向けての取り組みついてご紹介します。うまいもん甲子園とは、高校生によるご当地食材を使ったオリジナルレシピの開発と調理・プレゼンテーションを競う料理コンテストです。四日市農芸高校では、例年マコモを使った料理で参加をしています。

 

マコモとは?

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写真提供:四日市農芸高校

マコモとは、イネ科の多年草で、万葉集などにも登場する日本古来の作物です。写真で生徒たちが手に持っているのがマコモです。食用としてだけではなく、しめ縄や生活用品としても使われています。四日市市の隣にある菰野町の特産品であり、四日市農芸高校では2004年からマコモをPRするという取り組みがスタートしました。

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写真提供:四日市農芸高校

現在は、菰野町のマコモ栽培農家の方からの指導のもと、地域の人たちとともに栽培もおこなっています。

 

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そんなマコモPRの一環として始まった、うまいもん甲子園への挑戦。

今年挑戦したのは、四日市農芸高校3年の須藤(すどう)さん、長谷田(はせだ)さん、長江(ながえ)さんです。地元産のマコモを使用した『まこもとんてき彩まき』のメニューを考案しました。その活動や、実践する中での想いについて、お話を伺いました。

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写真提供:四日市農芸高校

写真の料理が、まこもとんてき彩まきです。

うまいもん甲子園は、5月にエントリーして6月には試作品の完成というスケジュール。約1ヶ月間、試作を重ね、レシピを考案していったのだそうです。

まこもとんてき彩まきは、スティック状のマコモとトンテキを、卵の薄焼き、そしてマコモ葉のパウダーを混ぜ込んだライスペーパーで巻いて作ります。

最も大変だったことを聞くと、3人声を合わせて「ライスペーパー作り」と答えました。

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マコモパウダー入りのライスペーパーを作るのは予想以上に難しく、粉の配合やメーカーを変えながら何度も試作を行ったのだそうです。うまくいくのか不安になってしまう時もありましたが、完成した時はとてもうれしかったのだとか。今回は決勝までいくことはできませんでしたが、彼女たちにとって大きな経験となったようです。

商品化も!味が気になる、マコモだけカレー

うまいもん甲子園の挑戦だけではなく、マコモを使った商品の開発・販売も行っています。

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こちらは2012年に誕生した『マコモだけカレー』。「みえの安心食材」の四日市農芸高校産のマコモタケを使用しています。(「みえの安心食材表示制度」は三重県が運営する制度です。)210gのカレールーの中に、40gもマコモタケが入っているのだそうです。マコモタケの食感を十分に味わってもらうために大きな具材はほかに入っていないのだとか。まさにマコモだけカレーです。

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写真提供:四日市農芸高校/いろいろな高校が出店するバザーでも販売を行います。

このような製品や生徒の実習成果による農産物は、四日市農芸高校の農業理科棟1階中央にある校内販売所で、原則として毎週月曜日と木曜日の午後2時から午後4時まで購入することができます。また校外では、月に1度ほど四日市市内で開催される販売会「みのりの丘マーケット」や、バザーに参加することもあるので、そちらでも購入することができます。詳しくはホームページに掲載の販売所カレンダーをチェックしてみてください。

 

四日市農芸高校のこれから

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写真提供:四日市農芸高校

マコモの知名度を高めるということが、地域を元気にすることに繋がっていますね。

今後の目標は、地域貢献に繋がる活動を継続していくこと。現在もマコモを使った新商品の試作をしており、地元企業とのコラボも目指していくそうです。今後の活動がますます楽しみです。

 

■美容室に商品開発も!?あけぼの学園高等学校のビューティークリエイト部とは

三重県伊賀市にある、あけぼの学園高等学校(以下、あけぼの学園高校)。高校生美容室という取り組みを行う学校として、名の知られている県立の高等学校です。1学年2学級の総合学科で、選択科目は、美容服飾、製菓調理、情報教養、健康福祉の4つの「系列」と言われるグループに分かれています。

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校内に入ると大きな文字で掲げられていた“ビューティークリエイト部”。なんと、学生達の約半数が在籍しているのだそうです。そんなビューティークリエイト部の活動について、お話を伺ってきました。現在の在籍数は102名。ビューティークリエイト部の主な活動2つをご紹介します。

高校生が商品開発?美容商品化プロジェクトとは

伊賀市の特産品を原材料とした美容商品の企画・開発・製造・営業活動・販売を行っています。地域の活性化とともに、活動を通していろいろな職業を体験してほしい、という先生の想いが込められています。

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こちらは、ビューティークリエイト部が監修を行った、初めての商品です。その名前は『nanonin(ナノニン)』。原料に使われている「菜の花」と伊賀市の「忍者」を掛け合わせて、名付けられたそうです。シャンプー&トリートメントは平成27年9月、洗い流さないトリートメントは平成27年12月に誕生しました。地元のなたね油を配合したもので、さまざまな人の髪の悩みにアプローチしてくれる商品です。

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こちらは、今年販売された『peonin(ピアニン)』という商品です。左側のオールインワンジェルは平成31年3月に、右側の万能ソープは令和元年10月に誕生しました。忍者が血をとめるときに使用したと言われている、シャクヤク。そこからアイデアをもらい、シャクヤクと地元の農家さんからいただいた米ぬかと調合して作られたものです。

ベタつかないのにしっとり潤うオールインワンジェルは、販売して間もないですがリピーターが多い商品です。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

この活動の中で最も大変なことは、102名の生徒の意見をどうまとめるかということです。このように付箋に想いや考えを書き、それを共有します。そういった作業を何度も重ねて、生徒全員が納得した商品を作り出しているのだそうです。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

10ヶ月で3万本を売り上げたビューティークリエイト部の商品。実際に販売する体験を通して、お客さんの反応を見るだけではなく、美容師としてはもちろん社会人になると大切になってくるトーク力や営業力といったものを養っています。三重だけではなく、名古屋や東京などでも販売しています。

人気すぎて予約が困難?高校生美容室「Akebono hair」とは

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ビューティークリエイト部が普段活動しているこちらの教室は月1回、高校生美容室『Akebono hair』となります。

この取り組みが始まったのは、平成26年のこと。より実践的な経験をという想いから始まりました。免許を持っていないため実際にカットするのは美容師免許を持っている先生ですが、生徒達にはアシスタントという重要な役割があります。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

お客さんの要望をお聞きするカウンセリング。簡単そうにみえますが、カットの成功はこのカウンセリングが左右します。しっかりとお客さんの想いを聞き取り、カットする先生に伝えることが大切です。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

こちらは、ハンドマッサージ。ツボを解説しながら、丁寧にマッサージしていきます。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

忘れていけないのは、準備や片付け。こちらもしっかり行います。

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写真提供:あけぼの学園高校ビューティークリエイト部

この高校生美容室、料金が300円ということもあり、情報が解禁されるとすぐに予約が埋まってしまうそうです。月に1度だけ開かれる、高校生美容室『Akebono hair』。情報はホームページに掲載されるそうなので、ぜひチェックしてみてください。

ビューティークリエイト部のこれから

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最後に、今後のビジョンを顧問の鴨田(かもだ)先生にお聞きしたところ、地元で活躍できる子どもたちを増やしていきたいとおっしゃっていました。

高校生美容室も令和2年度から、地元の美容師さんと連携を図り、さらにパワーアップするそうです。将来的には高校の卒業生だけのお店を作れたら、とお話してくださいました。

伊賀市の地域活性化につながっている、ビューティークリエイト部の取り組み。今後の活躍も楽しみですね。

 

■各界から注目!南伊勢高等学校・南勢校舎の“ソーシャル・ビジネス・プロジェクト”とは

南伊勢高等学校・南勢校舎(以下、南伊勢高校)は、三重県度会郡南伊勢町にある県立の高等学校です。度会町には同校の度会校舎もあります。

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南勢校舎は南伊勢町唯一の高校で、地域密着の取り組みをしている部活動があるとのことでお話を伺ってきました。

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私が教室に入ると、こちらに歩いてくる生徒たち。「初めまして、〇〇と申します」と、名刺を差し出し挨拶をしてくれました。

いきなり名刺交換から始まった、こちらの部活動。南伊勢ソーシャル・ビジネス・プロジェクト(略称SBP)と呼ばれています。ソーシャルビジネスとは、社会や地域の抱えている問題をビジネスの手法を使って解決しようとする取り組みのことを表します。

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現在、部員は6名。3名の顧問の先生方とともに、南伊勢町の抱えている少子高齢化という問題を解決するために、町と協働でさまざまな取り組みを行っています。今回は、その主な取り組み2つをご紹介します。

イベントで大盛況!「たいみー焼き」プロジェクト

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写真提供:南伊勢SBP

南伊勢町のキャラクター“たいみー”にちなんだたい焼き、『たいみー焼き』の商品化・販売をしています。2013年から始まったプロジェクトは、今年で6年目。今までで約5,500個のたいみー焼きを売ってきたそうです。

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このプロジェクトで一番の課題となったのは、オリジナルの金型でした。沖縄県立美里工業高等学校が協力を申し出てくれ、お互いのイメージを共有。2014年11月に金型が南勢校舎に届きました。その後、町への予算要望も認められ、さらに大型の金型を購入。より多くの人へたいみー焼きが届けられるようになりました。

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写真提供:南伊勢SBP

こちらのたいみー焼きは、南伊勢SBPがイベントに出店する際に購入することができます。味は、あんこと卵サラダで、価格は150円(税込)です。イベント出店情報はホームページやSNSなどでお知らせしているそうなので、ぜひチェックしてみてください。

生徒が厳選!お歳暮にぴったりなセレクトギフト

セレクトギフトは、生徒が選んだ南伊勢町の特産物を自分たちで仕入れ、パッケージデザインをした上で箱詰め、販売を行っています。今回で第7回目のセレクトギフト。

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写真提供:南伊勢SBP

200個限定で、「今まで買った人でも楽しめ、町民には新たな発見がある」というテーマを軸に、箱の中身をセレクトしました。注目は、今回新たに加わった写真下段中央の『mellow ドロップクッキーミックス』。こちらは、カップの中に牛乳や卵、バターを入れて焼くだけでクッキーができる手軽さが魅力の商品です。

新しいものと定番のものを、上手に合わせたギフトとなっています。値段は3,500円(税込)。気になる方は学校に直接お問合せください。

伊勢SBPのこれから

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最後に、今後の取り組みについてお聞きすると、既にいくつかのプロジェクトが動き始めているようです。

ひとつは、南伊勢町の行政チャンネル。南伊勢町が行政情報を町民にわかりやすく伝えるためのケーブルテレビを利用した取り組みで、役場からの委託で南伊勢ブランドに認定された生産者にインタビューを行っているそうです。

もうひとつは、非常食の商品化。SBPの仲間である熊本県立天草拓心高等学校と協働で、非常食を作るというプロジェクトが動き出しています。2020年1月はSBPメンバーが熊本に渡り、親睦を深めるのだそうです。まさにビジネス的な取り組みですね。

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初めはただ何となく入ったという生徒も活動を重ねるにつれて、SBPの一員となって仕事をした達成感や、南伊勢町を盛り上げているという充実感を味わうことができ、それぞれにやりがいを感じているようです。

南伊勢町で出会った、キラキラした高校生たち。その素敵なアイデアとチームワークで、地域をより一層盛り上げてください!

 

高校生のアイデアが引き立てる新たな地域の魅力はいかがでしたか? 街中で高校生が開発に関わる商品を見つけたら、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。

 

(掲載情報は、すべて令和元年12月時点のものです)

<今回の取材先はこちら>

 

★四日市農芸高等学校
住所:四日市市河原田町2847
電話:059-345-5021
HP:http://www.mie-c.ed.jp/ayokka/

販売所の情報はこちら http://www.mie-c.ed.jp/ayokka/minori-park/1market/market.html

 

★あけぼの学園高等学校
住所: 伊賀市川東412
電話:0595-45-3050
HP:http://www.mie-c.ed.jp/hakebo/index.html
Akebono Hairの情報はこちら http://www.mie-c.ed.jp/hakebo/biyousp%20-%20akebonohair.html

 

★南伊勢高等学校 南勢校舎
住所:度会郡南伊勢町船越2926-1
電話:0599-66-0034
HP: http://www.mie-c.ed.jp/hnanse/

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