ぜひ食べに行きたい!三重県食材がキラリと光る絶品スイーツ 第1弾

2021.12.17

スイーツ&パンライター いなだみほ

お茶や蜂蜜、卵や小麦粉、さまざまなフルーツなど、スイーツに使われる食材もたくさん生産されている三重県。そんな地元産食材を生かした個性あふれる品々に注目しました。第1弾として、2021年、多気町にオープンした大型商業施設のパティスリーを取材。地産地消をテーマに掲げ、地元産フルーツや特産品を使用した、三重県だからこそ生まれた絶品スイーツを紹介します。※記事内の価格は税込み。

厳選の素材をお菓子に…個性光る多気町の「Confiture H(コンフィチュール アッシュ)」

2021年7月にグランドオープンした多気町の「VISON」。面積54ha、東京ドームの24個分という広大な敷地の中は、「マルシェ ヴィソン」、「スイーツ ヴィレッジ」、「ホテルヴィソン」、「農園」、「アトリエ ヴィソン」など9つのエリアに分かれ、約70店舗が集結。県内を中心に全国各地の魅力的なお店が集まる、日本最大級の商業リゾート施設として注目されています。

「スイーツ ヴィレッジ」は、洋菓子の世界大会に日本代表として出場し、数々の優勝経験を持つパティシエ&ショコラティエ辻口博啓(つじぐち ひろのぶ)さんが手がけるパティスリー「コンフィチュール アッシュ」と石窯パン屋「Mariage de farine(マリアージュ ドゥ ファリーヌ)」からなるエリアです。「コンフィチュール アッシュ」では、三重県の気候風土や豊富な食材に魅了されたオーナー辻口さんが掲げる、「地産地消」をコンセプトにしたスイーツやコンフィチュールが楽しめます。

こちらでシェフパティシエを務めるのは、小森利英(こもり としひで)さん。三重県の食材を駆使した、生菓子、焼き菓子を披露してくれます。

「三重県は、本当に食材が豊富なんです。季節のフルーツもいろいろあるので、農家さんを直接訪ねて、仕入れさせていただいています」と小森さん。

そんな小森さんのスペシャリテ「サントス」は、まさに三重県の食材のポテンシャルを存分に生かして作られた一品。パープルの球体が印象的で、ショーケースの中でも、ひときわピカピカと輝き、特別感を放っています。

光沢あるむらさき色が気品溢れる「サントス」(700円・イートインは712円)。中はどんなふうになっている?と好奇心をくすぐられる美しいルックスです。

パープルでコーティングされた内側、ブラックベリーやストロベリーのクリーム、ゼリーと合わせているのが、松阪産の和紅茶を使ったチョコレートムース。実は松阪市は、県内有数のお茶の産地として、上質な深蒸し煎茶が生産されているんです。「酸味のあるクーベルチュールチョコレートには、和紅茶の香りと丸みのある味わいが合うなと思って…。また、ブラックベリーの甘みやほどよい渋みは、紅茶の味わいにも似ているので、相性もいいんですよ」と小森さん。滑らかな口どけとともにかすかに広がる紅茶の香りに癒されます。

中にはブラックベリーのジュレとクリーム。甘酸っぱいジュレと、甘さがふんわり広がるクリームとで、同じブラックベリーでも違う味わいが楽しめます。(写真提供:コンフィチュール アッシュ)

さらに、ムースを支える底辺にあるミルクチョコレートのクレープ生地にも、アクセントとして「伊勢真珠塩(いせしんじゅじお)」をひとつまみ使っているそうです。「真珠塩」とは、太平洋に面した奥志摩で採取した海水を、平釜でじっくりと炊き上げる、昔ながらの製法で作られた食塩のこと。真珠や真珠貝を一緒に入れて炊くことで、まろやかで風味豊かな塩になっているのだとか。まさに三重県の山と海の恵みを生かしたスイーツに仕上がっています。

人気のスイーツ「雅(みやび)」にも、三重県の食材・伊勢茶を使用しています。

伊勢茶のムース「雅」(520円・イートイン529円)

キルシュ酒がアクセントになったバニラのムースと、伊勢茶を使ったしっとりとしたスポンジ生地を包み込むのは、伊勢茶をたっぷり使ったムース。さらに、伊勢市で創業97年の老舗「伊勢製餡所(いせせいあんじょ)」のあんこを、ケーキに合うようすっきりした甘味に炊き上げて、中に忍ばせています。
「苔をイメージして作りました」という小森さんの言葉通り、トッピングのスポンジやムースのまわりに、霧状にコーティングされたグリーンのミルクチョコレートのテクスチャーで、苔っぽい雰囲気に仕上げられています。和と洋がほどよくミックスされたこちらのお菓子では、ムース、クリーム、スポンジ生地とそれぞれに使われた伊勢茶の味わいを存分に楽しむことができます。

こちらは、三重県熊野市でとれた柑橘類(かんきつるい)マイヤーレモンを使用した「マイヤーレモンバーム」(1,750円)。VISONのオープン記念に作られたバームクーヘンのスペシャルバージョンです。酸味が少なく、ほのかな甘みが特徴のマイヤーレモンの果汁やピール(皮)が生地に使われています。

「秋から冬にかけては、イチジクや柿、イチゴなど、旬のフルーツを使ったお菓子やコンフィチュールも登場予定です。スイーツに使える食材が、新鮮な状態で手に入る三重県だからこそ、さまざまなことにチャレンジできそうです」と小森さん。まだまだ楽しみは尽きませんね。

丘の上に立つお店は、天井の高い開放的な雰囲気。店内には、生菓子、焼き菓子のほかコンフィチュールも並びます。ガラス張りの厨房の様子もちらりと垣間見ることができ、活気を感じられるのも楽しいところ。
季節に合わせた生菓子が常時約20種ほど並ぶショーケース。美しくて、見ているだけでもうっとりします。

イチゴハウス・カカオハウスで“究極の地産地消”をめざす

店舗のすぐそばには、「イチゴハウス」と「カカオハウス」を設置し、イチゴとカカオを栽培中。イチゴの収穫はまだまだこれからですが、摘みたての完熟イチゴを使用したケーキやコンフィチュールを作る予定だそうです。店舗のすぐそばでイチゴを栽培するのは、同じ三重県内の湯の山温泉にある系列店「アクアイグニス」と同じ取り組みです。

「イチゴハウス」の敷地面積は450平方メートル。「紅ほっぺ」という品種のイチゴを育てているそう。

また「カカオハウス」では、その名の通り、カカオ栽培と新品種の開発にもチャレンジしています。そもそも熱帯地方の植物であるカカオは、日本国内での栽培は難しく、さらにハウス栽培は日本初の試みだそう。ショコラティエでもある辻口さんの「自分で育てたカカオでチョコレートを作ってみたい!」との思いから、食用油製造や農園経営を行う辻製油(つじせいゆ)(松阪市)とタッグを組んでスタートしました。こちらでカカオが収穫できるようになれば、「コンフィチュール アッシュ」内に併設されたショコラトリー「ル ショコラ ドゥ アッシュ」で販売するチョコレートとして、商品化していく予定だそうです。

ハウス内は敷地面積225平方メートル。約50本のカカオの木が植わっています。適切に温度や湿度を管理したハウスの中は、まるで熱帯のようです。
小さな白いつぼみが幹に芽吹き始めているカカオの木

カカオ豆から板チョコの製造まで一貫して手掛ける「bean to bar」スタイルのショコラトリーも増えている今、カカオハウスで育てたカカオ豆を、辻製油が搾り発酵させ、「ル ショコラ ドゥ アッシュ」でチョコレートに仕上げる。そんな未来にワクワク!
摘みたてのイチゴも三重県初のカカオづくりも、あくなきチャレンジの証。フードロス解消の取り組みの一つである、地産地消の究極の形が、ここVISONで実現するのが楽しみですね。

次回は、四日市市に2021年4月にオープンした「Chocolaterie 4」、全国区で知名度がある津市の「デ カルネロ カステ三重本店」をご紹介します。お楽しみに!

<今回紹介した施設はコチラ>
コンフィチュール アッシュ (Confiture H)
住所:多気郡多気町ヴィソン672-1 スウィーツ2
電話:0598-67-9060
営業時間:8:30~18:00
定休日:年中無休
Instagram:@confiture_h_vison

三重県の取り組み紹介
三重県では、地域で生産された農林水産物やその加工品を購入したり、農林漁業体験など地域の農林水産業や自然とふれあうことを通じて、私たち自身の生活や自分たちが暮らしている地域を見つめ直そうという運動を「地産地消運動」としてすすめています。
https://www.pref.mie.lg.jp/CHISANM/HP/jimonoichiban/index.htm