気分は宝探し?タイムスリップ?館長さんのこだわりが詰まった「まちかど博物館」とは

2019.7.26

お散歩好きライター こうけつ けんと

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博物館と聞くと、少しかしこまった感じがして、なかなか足を運びづらいという方もいるかもしれません。

しかし、今までの博物館のイメージにとらわれない「まちかど博物館」が、三重県には約500か所あります。

まちかど博物館とは、コレクションや伝統の技、手仕事などを、仕事場の一角や個人のお宅などで、館長さんの語りとともに見ることができる博物館です。

今年は元号が令和に変わったこともあり、数あるまちかど博物館の中から“時代”を感じられるような施設に注目してご紹介したいと思います。

 

■築300年の倉庫も!?江戸時代から明治初期にかけてのコレクションがすごい

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江戸時代から、「伊勢の台所」と呼ばれた河崎の地で陶器問屋としてお店を構える「和具屋」。間口が狭く、奥行きが長い、歴史を感じる建物です。

今回は、和具屋の15代目であり、ご夫妻でまちかど博物館をされている大西佐一(おおにし さいち)さんにお話を伺いました。

この暖簾をくぐった先に、和具屋のコレクションが保管されている蔵があります。築300年ほどで、建物としても珍しく、今ではとても価値があるそうです。さっそくコレクションを見せていただきました。

 

―陶器問屋の和具屋さんの、江戸や明治時代の陶器を見せていただけますか?

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大西さん「この皿は江戸時代のものと言われている有田焼。実はこれ全部手書きなんだよ。当時の売れ残りだから、まだ未使用のもの。例えば、同じ赤色でも、江戸と大正時代のものでは、色味が違っていて比べてみると面白いよ。」

大西さん「これは、当時の女性が美容のために椿油を入れていた壺。本でも紹介されているような貴重なものなんだよ。」

これまで取り扱っていた陶器が棚にびっしりと並んでいます。形やデザイン、色合いが違っていて、見ていて楽しいですよ。

蔵の中には、陶器だけではなく当時の生活がわかるようなものも保管されています。

 

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明治時代の遊びで使われていためんこも綺麗に保管されていました。当時はこのような人物の顔が描かれたデザインだったんですね。

 

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つづいて、この階段を登って蔵の2階部分に案内していただきました。

築300年の建物なのでもちろん歴史は感じられますが、柱などの骨組みなどはきれいに残っています。丁寧に作られ、丁寧に守られてきたんでしょうね。そんな2階部分でとても貴重なものを見せていただきました。

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大西さん「これは江戸時代の藍染。今では生産者が少なくなっている貴重なもので、当時から綺麗に保存されてきたから、たまに売ってほしいという人もいたりするね。」

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大西さん「これは松阪木綿の生地が貼ってある冊子。こうやっていろいろな生地を江戸に持って行って、希望の柄を聞いて衣服などを作っていたんじゃないかな。」

和具屋のコレクションを見ていると、江戸時代からの生活の様子などが垣間見えて、まさにタイムスリップしたような感覚を味わうことができました。

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蔵の中には、当時の街の繁栄を感じられるトロッコのレールが、入口から蔵の奥まで通っています。今はレールが錆びてしまい動かせないのですが、子どもの頃はこれで遊んでいたんだよ、と懐かしむ大西さん。

大西さんの語りとコレクションが、江戸や明治の時代にいるかのような感覚を味わうことができる和具屋にぜひ行ってみてくださいね。

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和具屋へのアクセス

■大正時代のガラスにこだわり!ステンドグラスがおしゃれでかわいい

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つづいて、“大正時代”に関連したまちかど博物館をご紹介したいと思います。

津市にある、大正時代のガラスにこだわってステンドグラスを制作する「憩いの大正ガラス館 アミーゴ」館長の青山静子(あおやま しずこ)さんにお話を伺いました。

 

―青山さんはもともとガラス細工をやってらっしゃったんですか?

青山さん「いえ、ガラス細工を始めたのは、定年退職後のこと。骨董品屋さんの店先に無造作に置かれていた大正ガラスが気になって、手に取ってみたんです。そのガラスが太陽の光を通した時の美しさに心を惹かれたのが、ガラス細工を始めるキッカケでした。」

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2年に一度くらいのペースで「十二単」のデザインの作品を作るそうです。

青山さん「それから3年ほど工房に通って経験を積んで、自身で教室を持つようにもなりました。これが、私のお気に入りの作品“十二単”です。」

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館内ではさまざまな作品を見ることができます。

―まちかど博物館に申請されたのはなぜですか?

青山さん「まわりの友人にもまちかど博物館をやっている人がいて、勧められて私も申請しました。もともと、地域の皆さんの居場所を作りたいという夢があったので、それも大きな理由の一つです。」

教室ではガラスを使っていろいろな作品を作ることができます。実際の体験では、大正ガラス以外のガラスを主に使用します。

―大正ガラスの魅力を教えてください!

青山さん「型押しされた大正ガラスは凹凸があって、平らなガラスよりも光を通した時にいっそう美しく感じられるからです。大正ガラスにこだわって作品を作っていきたいのですが、大正ガラス自体が少なくなってきているので、大正ガラスとその他のガラスを組み合わせた作品も徐々に増えています。それぞれのガラスの特徴が出ていて、こういった作風も素敵ですよ。」

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貴重なガラスなので、細かくなっても今後の作品に使うために保管しています。

 

大正ガラスの魅力をお伺いした後で、実際の作業の様子も見せていただきました。

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まずは、設計図にあわせて型取ったガラスの切り口を研磨していきます。

そして、研磨した面に銅でできたテープを貼っていきます。

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研磨とテープを貼り終えたパーツ同士をはんだ付けして、作品を作っていきます。

館長の青山さんに丁寧に教えていただきながらオリジナルの作品を作ることができるので、ぜひ体験してみてはいかがですか?

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憩いの大正ガラス館 アミーゴへのアクセス

 

■テレビや映画で見たことあるかも?レトロな雰囲気漂う「昭和ハウス」に行ってみた

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レトロな雰囲気が漂う「昭和ハウス」。豊富なコレクションの中には、テレビや映画の小道具としても利用されているものがあるので、もしかすると皆さんも見たことがあるかもしれません。

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そんな昭和ハウス館長の冨永潤(とみなが じゅん)さんにお話を聞いてみました。

 

―昭和のものを集めようと思ったキッカケはどういったものでしたか?

昭和に関するものを集めるきっかけとなった掛け時計
昭和に関するものを集めるきっかけとなった掛け時計

冨永さん「リサイクルショップで見た、掛け時計がキッカケです。買ったときには動かない時計でしたが、自分が子どもの頃には“こんな時計が部屋に掛かっていたのかな”と思いながら購入して飾っていました。しかし、時計なのに飾ったままではつまらないと思い、修理してもらって動くようになりました。そこで初めて、ぜんまいを巻いたり、振り子がカチカチ鳴ったり、マイナスの要素はあるけれど、どこか懐かしくて楽しくてレトロなものっていいなあ、という感覚が芽生えたんです。それから昭和に関するものをいろいろ集めるようになりました。」

 

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冨永さん「いろいろなものを集める中でハマりだしたのがテレビ。メーカーや年代によってデザインが全然違い、出会うテレビごとの個性があって面白い、と思って集めるようになりました。」

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冨永さん「これがテレビ番組でも紹介したことがあるテレビです。この光線銃のような光リモコンで操作ができるんですよ。」

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冨永さん「テレビ以外には、こんなものもあります。この2つは子ども用に作られたおもちゃですが、実際に調理に使うこともできるんですよ。昭和に作られたものが動いている様子も見てほしいという想いがあるので、昭和ハウスの公式サイトでは、動画でコレクションを使っている様子を紹介しています。ぜひ見てみてくださいね。」

―まちかど博物館に申請されたきっかけは何ですか?

冨永さん「どうせ集めるならいろいろな人にも見てほしいなと思ったのがまちかど博物館としてのスタートです。」

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懐かしさが漂うトースターとポット
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当時人気があったゲーム

冨永さん「まちかど博物館として活動を始めてから、当時小学生だった子が埼玉県から来てくれて、昭和ハウスの案内をしたのですが、今その子は埼玉で同じような活動をしているそうです。三重以外でも、こういう取り組みが広がっていくのは嬉しいですね。」

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昭和ハウスは、入り口を入ってすぐに駄菓子コーナーもあって、近所の子ども達が買いに来るそうです。昭和のものが令和にも受け継がれているのは素敵なことですね。

 

昭和ハウスを運営しながら、最近ではテレビや映画の制作現場で昭和のセットを作ったり、物を貸し出したりする仕事も増え、活動の幅が広がっている冨永さんに令和の目標を聞いてみました。

冨永さん「最近では映画やテレビの制作協力として関わることも増えてきましたし、昭和に関連するものを寄贈いただけるなど、徐々に認知も高まってきていると感じています。活動の中で昭和に関するコレクションが増えてきているのですが、昭和ハウスの中で見られるのは実際持っているものの氷山の一角に過ぎません。ですから、映画で使ったものを展示したり、昭和のことが学べたりする、もっと大きな博物館を作りたい、というのが次の夢です。」

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昭和ハウスへのアクセス

 

いかがでしたか?

館長のこだわりや想いを聞きながら、宝探しやタイムスリップをしたような感覚を味わうことができるまちかど博物館。懐かしさや受け継がれる伝統を感じられたのではないでしょうか?皆さんは令和の時代にどんなものやことを残したいですか?
三重県のホームページの中に、県内に約500か所あるまちかど博物館の情報がまとめられていて、ジャンルやエリアなどから検索することができますよ。ぜひ一度見てみてくださいね。

まちかど博物館の情報はこちら

 

<見学にあたってのお願い>
まちかど博物館は、いわゆる観光施設ではありません。あくまで館長の生活の場、仕事の場を公開していただくものです。予約が必要であったり、公開日などに制約があるなどの制限があります。
ご見学の皆さんも、まちかど博物館の趣旨をご理解の上で見学をお願いいたします。

※「見学にあたってのお願い」や記事内の地図は、三重県ホームページを参照しています。

(掲載情報は、すべて令和元年7月時点のものです)

 

<今回の取材先はこちら>

★和具屋
住所:伊勢市河崎2-19-32
電話:0596-28-2840
営業時間:9:00~17:00
定休日:不定休 ※来館前に電話で開館状況を確認するのがお薦めです。
HP:http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/matikado/da/detail?kan_id=835500

★憩いの大正ガラス館 アミーゴ
住所:津市庄田町1286-6

電話:080-1609-8828/059-256-2971

営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜日 ※要予約です。来館前に電話で開館状況を確認してください。
HP:http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/matikado/da/detail?kan_id=835683

★昭和ハウス
住所:伊賀市上野下幸坂町1240-2
電話:0595-21-1226/080-5102-9590

営業時間:12:00~18:00
定休日:不定休 ※来館前に電話で開館状況を確認してください。
HP:http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/matikado/da/detail?kan_id=835220

http://www.ict.ne.jp/~jun-/

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