あの映画も三重がロケ地!? 主人公気分で三重を旅してみませんか

2019.4.12

田舎やのんびり日帰り取材が多いスローライター 松本光範

映画半世界の1シーン

 

「あの主人公が立っていた景色を見たい」「大好きな役者さんが食べていたメニューを味わいたい」…。「映画のロケ地を巡ること」を目的に旅をする人が増えています。決して有名なスポットではなくても、ファンにとっては映画の世界を追体験でき、自治体にとっては、ロケ地を紹介することで地域のPRができる「ロケ地巡り」。三重県は、南北に細長く、豊かな自然があるエリアから工業地帯まで、多彩な特徴を持つだけに、これまでさまざまな作品のロケ地となっています。三重県で撮影された映画を紹介すると同時に、撮影場所に選ばれたヒミツを探りました。

「伊勢志摩」の魅力は多彩な撮影にフィットする環境にあり

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これまで多くの映画が撮影されている三重県。今回話を聞いたのは、2019年2月に公開された「半世界」のロケ地選定に携わった伊勢志摩フィルムコミッションで、チーフを務める西村恭祐(にしむら きょうすけ)さん。 「半世界」は、南伊勢町をメインロケ地として撮影されました。

◇伊勢志摩フィルムコミッションとは、どういった組織ですか?
西村さん「伊勢志摩フィルムコミッションは、『公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構』の中にある組織。官民一体となって、伊勢志摩地域の経済が活性化するよう、さまざまなメディアを通じて観光情報などを発信している機構の中で、フィルムコミッションは、映画やテレビ番組などの撮影の誘致や支援を担っています。映像作品を通じて、地域の魅力を発信し、伊勢志摩地域を訪れる人の増加を目指しています」

◇具体的には、どのような仕事をされているのでしょうか。
西村さん 「映画やテレビの制作に携わる人に、イメージや希望に合うロケ地を提案しています。同時に、機構の会員企業に、”映画やテレビ撮影の話があるのですが、協力してもらえないですか”と交渉し、撮影に必要な協力を取り付けます。宿泊や飲食、小売りなど多くの企業が会員なんですよ。今までで一番驚いた要望は、”国境っぽいところで撮影したい”という相談(笑)。もちろん、イメージに近い場所を探して撮影を実現しました」

◇これまで、三重ではたくさんの作品が撮影されていますが、伊勢志摩の魅力はどういったところですか。
西村さん 「農村や漁村である田舎と都市が近く、さまざまなシチュエーションの撮影ができること。さらに、スペイン風のリゾート施設・志摩地中海村のような〝外国風の絵〟が撮れるところもある。また、関東圏から近いということも魅力のようです。撮影隊は、主に東京から来られますが、撮影中に、〝夜にいったん、東京に戻って仕事をする〟なんてことも可能。そんなところも、いろいろな映画やテレビ番組から声をかけてもらえる理由だと思っています」

◇今後のフィルムコミッションの展望などを聞かせてください。
西村さん 「〝映画の伊勢志摩〟としての認知度を高めたいですね。日本的なイメージを代表する伊勢神宮をはじめ、先ほどの志摩地中海村など、多彩なロケーションがあります。最近は、海外からも少しずつ声がかかるようになっているんですよ。世界的に伊勢志摩と映画が結びつくようなイメージができれば、もっと多くの人に知ってもらえると思っています」

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↑「半世界」では、ロケ地マップも製作。監督らスタッフと意見交換し、作品を象徴するスポットを選定したそう

一緒になって映画を作り上げる、まさに制作スタッフの一員

さて、西村さんにフィルムコミッションの概要を伺ったところで、「半世界」のロケ地選定に直接携わった、南伊勢町観光商工課・観光交流係の弓場悟(ゆみば さとる)さんにも、お話を伺いました。映画の現場とはどのようなものなのでしょうか。

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◇「半世界」のロケ地が南伊勢町に決まった経緯を教えてください。
弓場さん 「『半世界』の場合は、炭焼きを絡めた映画を撮りたいと思っていらっしゃった監督自身が、インターネットで『マルモ製炭所』(南伊勢町にある備長炭の製作工房)を見つけられたことが始まり。この場所で撮影すると決められてから、オリジナルで書かれた原作も作り直されたので、南伊勢町がよりメインな舞台となったんだと思います」

◇弓場さんと作品の関わり方は?
弓場さん 「話をもらってからは、制作チームと一心同体となってロケ地探しをしました。空き家や古民家などを1軒ずつあたって撮影に合う場所を選んでいきました。約1カ月の撮影期間中は、制作チームにつきっきり。朝の3時に集合したり、深夜2時までの撮影に立ち会ったりといったこともありました」

◇そんなことまで!? すごくハードですね。
弓場さん 「やっぱり撮影をしてもらうからには、少しでもいい環境で撮ってもらいたいですから。それに、『それは無理です』とは言いたくない。また、立ち会ってみるとスタッフさんも演者さんも、すごく苦労されているんです。だから、できる限り協力をしようと…。幸せなことに伊勢志摩地域の人たちは、みなさん協力的。エキストラにも約1200人ほどが登録しています。制作チームの方から『これだけ協力してもらえるのは初めて』という言葉ももらい、大変励みになっています」

◇今後は映画とどのように関わっていきたいとお考えですか?
弓場さん 「スタッフさんやキャストさんとの関係を大切に、いろいろな作品を誘致したいですね。”撮影のことならあの町にあの人がいるよ”と言われるとうれしいじゃないですか。『半世界』と同時期に撮影があった映画『青夏 きみに恋した30日』の場合は、以前に南伊勢町で撮影したスタッフたちが場所を気に入ってくれて、声をかけてもらったんです。私たちは、作品を通じて伊勢志摩・南伊勢町を知ってもらいたいので、ロケ地マップなどを積極的に製作して、上映後のPRにも力を入れています。今回の『半世界』のロケ地も、マップを作っているので、ぜひ街を歩いてほしいですね」

単にロケ地の候補を資料で渡すだけではなく、制作チームと同じ目線で仕事をされているのは驚きでした。
では、実際に「半世界」のロケ地を見ていきましょう。

 

映画「半世界」のロケ地・南伊勢町を巡ろう!

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映画「半世界」の脚本・監督は阪本順治さん。稲垣吾郎さん、長谷川博己さん、池脇千鶴さん、渋川清彦さんらが出演し、2019年2月に公開。山中の炭焼き窯で備長炭を作る高村紘(稲垣吾郎)が、突然帰ってきた旧友、沖山瑛介(長谷川博己)と、もう一人の同級生、岩井光彦(渋川清彦)の言葉をきっかけに、家族や仕事に真剣に向き合う決意をします。男同士、39歳を迎えた同級生3人が集まり「人生半ばに差し掛かり、残りの人生をどう生きるか」を考える、愛と驚きに満ちた作品。第31回東京国際映画祭では観客賞を受賞しました。

■炭焼小屋

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高村紘(稲垣吾郎)の仕事場として登場した炭焼小屋。今も実際に、「マルモ製炭所」が”伊勢志摩備長炭”を製炭しています。阪本監督が炭焼き職人を映画で描きたいと、全国を探し回って見つけたのがこちらでした。

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▲この小屋で撮影された1シーン

■紘の家

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作中で高村紘が、家族とともにつつましく暮らす家。民家の協力により、壁の”高村製炭所”の文字は今も残っています。

■岩井モータース

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高村紘の友人、岩井光彦(渋川清彦)が経営する中古車販売店。実際にある自動車修理工場「西村ボデー」を飾り変え、販売店兼工場として使用しました。撮影時には、ロケのことは秘密だったため、看板が変わったときは、地元の銀行が夜逃げされたと思って飛び込んできたというこぼれ話も。

■宿田曽(しゅくたそ)漁港

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沖山瑛介(長谷川博己)が漁の網を触るシーンなどを撮影。夕日の名所としても知られる漁港です。撮影は漁船「大征丸」に協力してもらい、休憩中には伊勢海老汁もふるまわれました。その美味しさにキャストも感激したそうです。

●田曽白浜

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向かいに志摩市を望む、広い砂浜。キービジュアルにもなっている3人の写真は一部堤防のようになっているココで撮影されました。

©2018「半世界」FILM PARTNERS
配給:キノフィルムズ
2019年2月全国ロードショー

●半世界ロケ地マップは下記で手に入ります ※2019年3月現在

・南伊勢町南勢庁舎(三重県度会郡南伊勢町五ケ所浦3057)
・南伊勢町南島庁舎(三重県度会郡南伊勢町神前浦15)
・南伊勢町観光協会(三重県度会郡南伊勢町五ケ所浦3917)
・伊勢市御薗総合支所(三重県伊勢市御薗町長屋1221 ※5月13日から伊勢市役所本庁東館3階)
・鳥羽市役所(三重県鳥羽市鳥羽3-1-1)
・鳥羽マリンターミナル(三重県鳥羽市鳥羽1-2383-51)
・志摩市役所(三重県志摩市阿児町鵜方3098-22)

 

「青夏」「娚の一生」 まだある! 三重県がロケ地になった、最近の話題作はコチラ

■「青夏 きみに恋した30日」

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漫画家・南波あつこの人気コミックが原作。夏休みの間、祖母の家で過ごすことになった都会育ちの女子高生・理緒(葵わかな)が地元の高校生・吟蔵(佐野勇斗)と出会い、恋に落ちるピュアなラブストーリー。夏休みが終われば離れ離れになってしまうことが分かりながら、加速する二人の恋の行方を描く。監督:古澤健 出演:葵わかな、佐野勇斗

三重県内のロケ地=鳥羽市、志摩市、大紀町、南伊勢町、度会町
ロケ地マップ=https://www.iseshima-kanko.jp/business/fc/2458

豪華版Blu-ray 6,500円(税別)、豪華版DVD5,500円(税別)、通常版DVD3,500円(税別)
※DVD好評レンタル中
発売・販売元:TCエンタテインメント
(C)2018映画「青夏」製作委員会

■「娚(おとこ)の一生」

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年の差恋愛を題材に、累計160万部を突破した西炯子の代表作を映画化。東京でキャリアを積み、辛い恋愛をしていた堂薗(どうぞの)つぐみ(榮倉奈々)は、なにもかもに疲れ、田舎の一軒家で暮らし始める。そこで出会ったのは独身の大学教授・海江田醇(じゅん)(豊川悦司)。自分は幸せになれないと決め込んでいた女性と、恋愛を拒み、落ち着く家庭を得ることはできないと信じ込んでいた50代の男性。二人がゆっくりと”人を愛する”ことに向き合う、大人のラブストーリー。監督:廣木隆一 出演:榮倉奈々、豊川悦司

三重県内のロケ地=伊賀市、南伊勢町
ロケ地マップ=http://igakanko.net/otokonoissyoumap.html

発売元:ポニーキャニオン/小学館
販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD4,700円(税別)、Blu-ray5,700円(税別)
©2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

■「来る」
原作は第22回日本ホラー小説大賞受賞作「ぼぎわんが、来る」。オカルトライター・野崎(岡田准一)のもとに、超常現象としかいいようのない奇怪な出来事が相次いで起こるという相談が舞い込んだ。野崎は霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴(小松菜奈)とともに、その調査に向かうが…。正体不明の怪物が迫りくる恐怖を、「告白」や「渇き。」の監督で知られる鬼才・中島哲也が映像化した最〝恐〟ホラーエンターテインメント。監督:中島哲也 出演:岡田准一、妻夫木聡、黒木華、小松菜奈、松たか子

三重県内のロケ地=四日市市、亀山市、津市
ロケ地マップ=http://yokkaichi-fc.jp/news/427/
※2019年夏にDVD発売予定

そのほか「観光三重」のサイトでは、多彩な映画のロケ地マップがアップされています。
チェックしてみてくださいね。
↓↓
https://www.kankomie.or.jp/special/filmcommission/

原作や映画のファンはもちろん、映画を見ていない人も、ロケ地を巡れば、新しい三重県の魅力を感じられるはずです。最近では、SNSなどの普及もあり、映画のロケ地情報は比較的入手しやすくなっています。意外な作品が、三重県で撮影されていることも。ロケ地情報を探して、新しい旅の楽しみ方を試してみてください。

(掲載情報は、すべて平成31年3月時点のものです)

<今回紹介した施設はコチラ>
★公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構
住所:三重県伊勢市二見町茶屋111-1
電話:0596-44-0800(受付時間8:30~17:15※土・日曜・祝日、年末年始を除く)
https://www.iseshima-kanko.jp/
★マルモ製炭所
住所:三重県度会郡南伊勢町伊勢路
★西村ボデー
住所:三重県度会郡南伊勢町下津浦
★宿田曽漁港
住所:三重県度会郡南伊勢町宿浦
★田曽白浜
住所:三重県度会郡南伊勢町田曽浦

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