写真映えもバツグン!三重で輝く個性派ミュージアムを探訪

2018.6.29

フードライター 高田強

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三重のミュージアムといえば、建築の美しさと日本の近代洋画コレクションの充実ぶりで知られる三重県立美術館や、ミエゾウの全身復元骨格が展示されているMieMu(三重県総合博物館)が有名です。
でも実は、三重にはほかにも個性的な美術館や博物館がたくさんあるんです。最近はSNSの発達で、そんなミュージアムに足を運ぶ入場者が増加。今回は、取材班が注目するフォトジェニックなアートスポットをご案内します。

名建築の中には、迫力ある大量の木造船が 「鳥羽市立 海の博物館」

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最初に訪問したのは、鳥羽市。伊勢湾南端の生浦湾を臨む場所にある、「鳥羽市立 海の博物館」です。シックで巨大な木造の建物が印象的。インスタ映えすると来場者から人気の赤い扉も。さっそく中に入ります。
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入った瞬間に建物の迫力にびっくり。大きめの体育館サイズなのですが、天井の梁(はり)などを見るとわかるように、基本的に木造。そして柱がない!
こちらは漁業を営む人々の民俗資料館的な施設なのですが、建築でもすごく有名。建築家の内藤廣(ないとう ひろし)さんの設計で日本建築学会賞、第18回吉田五十八賞、芸術選奨新人賞美術部門などを受賞した名建築なんです。
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見学できる建物はA棟とB棟、重要文化財収蔵庫(船の収蔵庫)、体験学習館(特別展示室)、フォトギャラリーの大きく分けて5つ。A棟で最初に目についたのが「潜水艇」。鳥羽出身の漁師で潜水作業を行う東海サルベージの藤原豊吉さんが開発。明石海峡大橋や青函トンネルの調査などで活躍したというものです。
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なんと、中に入れるようになっています。入ってみると座席などはなく、なんともサイバーな写真が撮れました。
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A棟には海民の伝統や海の汚染についての展示などがあるのですが、興味をひいたのが、信仰にまつわディスプレーです。漁村のお祭りなどを紹介するきらびやかで楽しい空間でした。
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この牡蠣の殻でできた龍は博物館スタッフが製作したものだそうですが、非常にかっこよかったです。
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B棟では、ハマグリ、ウナギ、打ち網などからノリの養殖まで、伊勢湾を中心とした場所で行われるさまざまな漁が紹介されています。
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また、海女さんたちの道具や生活について、実物のほか、数多くの模型を使っての展示も。
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そして、海の博物館で一番迫力あるのが、重要文化財収蔵庫(船の収蔵庫)。なんと、約90隻の木造船を庫内に設置。
壮観な船をバックに写真も撮れます。実はこの船が貴重。今では使用されてない木造船ばかりで、三重県で作られた船は重要有形文化財となっています。
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広報担当の石原真伊(いしはら まい)さんに、この施設について聞いてみました。

◇すごい建物ですね。
石原さん「建築家の内藤廣さんが設計されたのですが、館長と建築家が一緒にいろいろなミュージアムを巡ってどうつくるか検討し、最終的に展示物が自由に動かせるように柱のない構造にしたそうです。こう見えてランニングコストも安いんですよ」

◇建物自体も有名なんですよね
石原さん「内藤さんはこの博物館の建築でたくさん賞を取られたので、建築系の大学では、見ておいたほうがいいとすすめられているそうで、学生さんがたくさん来てくださいます」

◇見どころはやはり重要文化財収蔵庫ですか
石原さん「約6万点の資料の中には7千点近くの重要有形民俗文化財があります。その中でも約90隻の木造船は迫力もあり人気ですね」

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精巧な模型などがたくさんあり、かなり見応えのある博物館でした。実際に使われた道具などが並べられているので直感的に学べ、家族連れでの訪問もおすすめです。

風光明媚な別荘地に佇むアートな隠れ家 「伊勢現代美術館」

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次に訪ねたのは、南伊勢町の「伊勢現代美術館」。市街地から離れた場所で、周辺は別荘などが立ち並ぶ、のどかで落ち着いたエリアにあります。
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こちらの美術館では、各展示室でユニークな企画展を展開。1階展示室では、「吉川正道・千香子 展」(セラミックアート)が開催されています(2018年7月8日まで)。2階展示室は、取材時、ちょうど展示替えのタイミングだったのですが、屋外にはそれを補って余りある魅力的な常設展示がありました。

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これが庭。白い美術館本館に隣接する芝生の庭には、たくさんの立体アートが配置されています。この庭のいいところは、海。庭の目の前に五ヶ所湾があり、緑と青のコントラストの中にアート作品が点在しています。
展示室は基本的に撮影NGですが、これらの作品は撮影してもOKです。
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吉田達彦(よしだ たつひこ)さんの作品もこんなふうに撮影できます。
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これはちょうど1階展示室で企画展をされている吉川千香子(よしかわ ちかこ)さんの作品。
庭の緑に映えていますよね。

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館内のエントランス部分もカフェとミュージアムショップになっていて、大きな窓に額縁のように収まった風景を楽しめます。
また、テラス席では、ケーキセット800円や紅茶450円といったカフェメニューも。カフェのみの利用も可能です。
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本館から徒歩1分ほどのところには別館「彫刻館 宇空(うくう)」があり、屋外スペースでは彫刻・陶芸などの立体作品が常設展示されています。
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こちらがその作品。石庭に15の作品を配置しています。本館の「海」とは逆に、こちらは背景が「山」です。
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大平實(おおひら みのる)さんの大きなブロンズなど、庭の作品は撮影も可能で、傷つけなければ触っても大丈夫です。
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川崎和美(かわさき かずみ)さんの「生と死の不可思議」をテーマにした作品の一部。たくさんあるのは心臓の形をした信楽焼です。

館長の服部志穂(はっとり しほ)さんにこの施設について聞いてみました。
◇隠れ家の奥に海が広がる感じがいいですね。
服部さん「ここは、名古屋でギャラリーをしていた父が現代アートの美術館をつくりたいと思い、探していたときに見つけたそうなんですが、ひと目で気に入ってロケーションを生かした美術館を建てたんです」

◇カフェが気持ちいいですね。
服部さん「カフェ利用のみもOKなので、伊勢という土地柄もあり、お伊勢参りのついでに、ふらりと立ち寄られる方もいらっしゃるんですよ。また、作家さんのワークショップや音楽とのコラボレーションイベントなども開催しています」

◇立体作品が多いので見応えもありますね。
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服部さん「企画展は、絵画や写真などいろいろあるのですが、常設は立体が多いですね。今日はお天気に恵まれましたが、林武史(はやし たけし)さんの作品『雨』などの石彫作品は、雨に濡れるとまた違った表情を見せます」

伊勢の自然と調和する立体アート作品には、「こんな展示の仕方があるんだぁ」と感心させられました。

 

心に響くアフリカン彫刻を収集した希少な美術館 「マコンデ美術館」

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最後にお邪魔したのは、伊勢市の「マコンデ美術館」。 “マコンデ”とは、タンザニアの高原の名前。そこに住むマコンデ族の彫刻を集めた美術館です。
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人や動物がデフォルメされ彫られたものが多いようです。
そんな作品が大小合わせて500点以上。
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中には、本来販売はされていないアフリカの伝統的な仮面なども。

この美術館の大きな特徴は、ほとんどの彫刻が手で触れても大丈夫なこと。
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こんなふうに質感を確かめられるのです。
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絵画以外は、ほぼ撮影OKなので、作品に近づいて面白いアングルの写真を撮ることもできます。
曲線のキレイな作品が並び、じっくり考えるというより感覚的に楽しめる彫刻が多いように思います。
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見ているとなんだか楽しくなるユーモラスなものも。
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ティンガティンガ絵画の展示も行われています。

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この施設について館長の水野恒男(みずの つねお)さんに聞いてみました。

◇たくさん作品がありますが個人で収集されたんですか。
水野さん「そうですね。1972年頃に名古屋の民芸品店で出合って、そこからハマりましてね。現地まで行って買いつけるようになりました(笑)」

◇それをみなさんに見ていただこうと?
水野さん「気付いたら収集品が2000点ほどに。そこで1992年の9月にオープンしました」

◇展示作品はどういった物なんですか?
水野さん「ある程度カテゴリー化していますが、テーマは多彩です。実はマコンデ彫刻自体は、素材である黒檀の枯渇などもあり、私が思うに1960~80年が全盛期。1階にはその頃の作品が多く展示されていますので見応えがあると思います」

◇どういったところが見どころですか?
水野さん「木の元の形を生かしつつ、堅い黒檀を彫って作り上げた造形と質感ですね。なので、触って確認していただくのも大歓迎です」

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初めて出合ったマコンデ彫刻は、ユーモラスな物が多く、つい引き込まれてしまう魅力がありました。貧困や治安の不安があった時代につくられた作品とは思えない力強さなど体感してもらいたいですね。

まだある!注目博物館

 

「石水博物館」
豪商だった川喜田家の旧蔵資料を中心に所蔵しています。館内には陶芸家の川喜田半泥子の作品ほか、茶道具、日本画、洋画、錦絵などの美術作品が並ぶ。伊勢商人に関する歴史資料なども多く揃います。
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建物があるのは、半泥子ゆかりの千歳山(津市垂水)。「森の中に佇む」と言う表現がピッタリ。

小千歳文庫敷地内には、川喜田半泥子が同家所蔵品の収蔵のため、津市郊外千歳山の自邸内に昭和5年に建設した千歳文庫があります。国の登録有形文化財(建造物)にも登録。館内は非公開ですが、現在も石水博物館の収蔵庫として使用されています。
ロビー
石水博物館のエントランスへ続くスロープやガラス張りのロビーからは、森の中に堂々と佇む千歳文庫の外観を楽しめます。

今回紹介した施設はコチラ

★鳥羽市立 海の博物館

住所:鳥羽市浦村町大吉1731?68
電話:0599-32-6006
時間:9:00~17:00(3月1日~11月10日)、9:00~16:30(12月1日~2月28日)※入館は閉館の30分前まで

休館:6月26日~30日、12月26日~30日
料金:一般800円、大学生以下400円
※団体、障害者割引あり
駐車場:30台以上(無料)
http://www.umihaku.com/

 

<おすすめ展示>
◆「タコと人が町を元気にする!~タコへの信仰と地域の振興」
2018年7月14日(土)~11月25日(日)
ミステリアスな海の生きもの、タコを深く掘り下げる特別展示。

 

★伊勢現代美術館

住所:度会郡南伊勢町五ケ所浦湾場102-8
電話:0599-66-1138
時間:10:00~17:00
休館:火・水曜日(祝日の場合は営業、翌日に振替)
料金:一般700円、学生(大・高・中)500円、小学生以下無料
駐車場:8台(無料)
https://www.ise-muse.com/

 

<おすすめ展示>
◆「Fresh 2018 / 深川瑞恵 展」
2018年6月7日(木) ~ 7月22日(日)
ガラスを使った幻想的な作品が並ぶ。
◆「181818 三木俊治 彫刻展 ─殿敷 侃へのオマージュ『荼 』」
2018年6月18日(月) ~ 8月26日(日)
世界的にも有名な彫刻家が「原爆の画家」と呼ばれる作家へ捧げる作品展。
◆「小林勇輝展」
2018年7月12日(木) ~ 10月8日(祝・月)
魂に響き、生きる力が湧き出てくるような作品を発信する書家の作品展。

 

★マコンデ美術館
住所:伊勢市二見町松下1799
電話:0596-42-1192
時間:9:00~17:00
休館:火曜日(祝日の場合は営業、翌日に振替)、6月・12月の第2月曜日~金曜日
料金:一般1,000円、高校生800円、小・中学生600円、幼児無料
※団体、障害者割引あり
駐車場:20台、バス2台(無料)
http://www.museum.makonde.jp/

 

石水博物館
住所:津市垂水3032-18
時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
休館:月曜日(祝日の場合翌日)。展示替え期間。年末年始
料金:大人500円、学生(高校生以上) 300円
http://www.sekisui-museum.or.jp/

【関連情報】

つづきは鳥羽で
つづきは南伊勢町で
つづきは伊勢で
つづきは津で

■つづきは三重で 若手海女さんに会いに鳥羽へ 海を学び、カキを食する
http://www.mie30.jp/feature/6070

■つづきは三重で 東の魯山人、西の半泥子。スーツで轆轤(ろくろ)をまわす粋人は、銀行頭取だった
http://www.mie30.jp/common/3601