未来感がハンパない! ハイテク忍者修行で心技体を鍛えるのです!

2016.12.22

「つづきは三重で」市民記者

ミエゾウ

【取材】福田ミキ

———THE NINJA ~忍者ってナンジャ!?~

今、三重県総合博物館にて
忍者の謎に迫った企画展が開催されている(2017年1月9日まで)
忍者ってナンジャ!?

この企画展は、”忍者”について、ただ説明がされているだけではない。

さまざまな切り口から、
三重大学を中心とする専門分野の研究者や専門家が研究し、
科学の視点で解き明かされた忍者の知恵や技術を
修行という形で体感しながら学べるのだ。

人間の能力を最大限に生かす忍者のスキルは、
現代社会にも応用できるという。

なんとっ!

デジタル化に慣れ過ぎて
五感が鈍った大人を代表し、
修行にいくことにした。

 

———そもそも博物館とはなにか

平成26年4月にオープンした三重県総合博物館(※津駅からバスで約5分)。
通称はMieMu(みえむ)

三重(Mie)のミュージアム(Museum)の掛け合わせでできた名前。

また、「みえむ」という音は、「三重の夢」にも通じている。

はじめに、
館長の大野照文氏にお話を伺った。

2015年まで京都大学総合博物館の館長を務め、2016年からMieMuの館長に。
▲2015年まで京都大学総合博物館の館長を務め、2016年からMieMuの館長に。

博物館として大切にしていることを尋ねたところ、
常に未完成であることと仰る館長。

なぜならば、
博物館は、”知らないものや不思議なものに出会う場”。

展示をみて
全てわかってしまったら面白味はなく、
微妙に「?」を持たせることが理想という。

「?」により、
好奇心が刺激され、原動力となって、自分なりに調べる。

調べ、考え、みんなで知恵を持ち寄る。
伝えて、聞いて、また考える。

発見と疑問が繰り返される中で、
答えは一つでなくたくさんあるということを実感する。

だから面白い。

答えが一つでない面白さは、
科学に限らず人生も同じ。

そう楽しそうに話してくださった館長。

MieMuのシンボルは300~400万年前に生息していたミエゾウの全身復元骨格。三重県津市で初めて化石が発見された。国内の陸上哺乳類では史上最大。
▲MieMuのシンボルは300~400万年前に生息していたミエゾウの全身復元骨格。三重県津市で初めて化石が発見された。国内の陸上哺乳類では史上最大。

 

実際、MieMuの館内は、
来館者が活動の場として使える交流創造エリア
三重県の魅力を紹介する展示エリア
季節の移ろいを感じられるミュージアムフィールドという3エリアで構成され、
いつ訪れても知的好奇心がくすぐられるきっかけが用意されている。

交流創造エリアにある学習交流スペース。三重を知る本を楽しめるほか、学芸員に質問することもできる。
▲交流創造エリアにある学習交流スペース。三重を知る本を楽しめるほか、学芸員に質問することもできる。

 

交流創造エリアにあるこども体験展示室。トンネルや坂道を探検しながら身近な不思議を発見できる。
▲交流創造エリアにあるこども体験展示室。トンネルや坂道を探検しながら身近な不思議を発見できる。

———「忍者」って何者だろう。

今回の企画展のテーマである「忍者」。

三重県伊賀地方に存在していたという伊賀流忍者は
日本だけでなく海外でも名高い。

忍者の任務は情報収集などで、
情報を得るためには頭を使うことに加え、
心・技・体もバランス良く必要であった。

時には自らの関節を外してまでも
狭い所に入ることもあったとか。

それにしても忍者の超人伝説がすごい。

ビル5階(約15m)から飛び降りて平気なボディって!?

清水の舞台は約12m。江戸時代の記録によると170年間に235件の飛び降りがあり生存率85%。意外と高い! そういうプチ情報も面白い。
▲清水の舞台は約12m。江戸時代の記録によると170年間に235件の飛び降りがあり生存率85%。意外と高い! そういうプチ情報も面白い。

 

忍者は果たして本当に超人だったのだろうか。

謎に迫るべく、
企画展「忍者ってナンジャ!?」の扉を開ける。

 

———大好評の企画展「忍者ってナンジャ!?」

本企画は、日本科学未来館(東京都)にて好評だった凱旋企画。
MieMuでは、2016年10月25日から始まり、
連日にぎわいをみせている。

展示会場に入ると、
所狭しと並ぶ忍術の古文書や関連本、浮世絵などなど。
忍者研究室

 

———まずは「体」の修行から

心・技・体それぞれのテーマに沿って分かれている会場。

「体」がテーマの道場では、
忍者の体力や知覚、身体の使い方を学ぶことができる。

素早く無駄のない動きは忍者の基本!!

ということで、忍び足に挑戦してみた。

抜き足、差し足、忍び足・・・。
▲抜き足、差し足、忍び足・・・。

 

に気付かれると、
赤いランプが点灯する仕組みで、
ソーっと精一杯の忍び足で歩くも、
パッカーンっと早々にランプ点灯!!

「くせ者!!」

再チャレンジするも、ゴールまでたどり着くことなく終了。
今のスキルでは、すぐに取っ捕まることが分かった。
解説によると、
忍び足の基本は、「抜き」の動作。

関節の力を抜くことで重力を使い、
素早く効率的に体を移動させる。

普段の歩き方よりも
約0.2秒短くなり、ふくらはぎへの負担も小さいそう。

館長にコツを教えてもらいつつ、次の修行へ。
▲館長にコツを教えてもらい、忍び足で次の修行へ。

 

次に、跳躍力を鍛える修行。

忍者はヒマワリなど成長の早い植物を植え、
毎日飛び越えるという方法で、跳躍力を鍛えていたという。

さて、35cmのヒマワリを助走なく飛び越えられるか。

よいしょっ!!

意外と飛べた。
▲やったー、飛び越えた。

各ブースに設置された解説パネルは、
図と端的な文章で構成されているため、
とても読みやすく面白い。

 

今度は、手裏剣を打つ修行。

忍者が敵に見つかったとき、
身を守るために使ったとされる手裏剣。

えいやっ!!

的に当たると光る。打つときに、手首を返し回転をつけるのがコツ。
▲的に当たると光る。打つときに、手首を返し回転をつけるのがコツ。

手裏剣は、”投げる”のではなく”打つ”。

なんか楽しくなってきた♪

 

———忍者は五感を研ぎ澄ますことも重要

ここからは、五感に特化した修行。

忍者は、常日頃から五感を鍛え、
わずかな違いを感じ取って状況判断をしていた。

「触る」では、ふすまの穴に手を入れ、触れたものが何であるかを当てる修行。
▲「触る」では、ふすまの穴に手を入れ、触れたものが何であるかを当てる修行。

 

解説パネルには、
科学的な根拠も示されており、「なるほどー」の連続。

 

「視る」
ふすまの向こうのろうそくの炎を見て、視力と集中力を鍛える修行。
ふすまの先にはろうそくが。

特定のものに注意を向けていると、
脳の視覚を司る「視覚野」の神経活動が活発に。

忍者は、忍び込む35日も前から暗闇にこもり、
ものを視る練習をしていたとか。

 

「聴く」
ふすま越しに、隣の部屋に落ちた針の本数を当てる修行。
ふすま越しに針の音を聴く。

これは、会話から、
敵の数や特定の人の声を聴き分けるために
忍者が日々行っていた訓練。

集中して音を聴くと
脳の第一聴覚野の反応が10~20%高まるということが
科学的にも証明されているらしい。

なんと理にかなっている!

 

「嗅ぐ」
線香=僧侶のように、においから職業を推察する修行。
何のにおい?

忍者は自らが変装するときも
職業に合わせたにおいを身につけていたのだって。

はじめ判断できなかったにおいも
毎日10分間×3週間嗅ぐと
脳の嗅覚系の変化によって感じ取れるようになるそう。

 

本来備わっている人間の能力を
最大限かつ効率的に使えるよう、日々鍛錬を重ねていた忍者。

その能力たるやトップアスリート以上かも。

 

———続いて、「技」の修行へと入る。

忍者は体力だけでなく、
たくさんの技や知識、道具を使いこなしていた。

地形・方位・天気の読み方や
薬の作り方も身につけており、
これは現代でいう地理学、気象学、薬学、自然科学、脳科学を網羅するもの。

クイズ形式で学ぶことができる。
▲クイズ形式で学ぶことができる。

 

仲間への 秘密の暗号は、縄の結び目!?
秘密の暗号をつかえ。

 

染色した米を置き、
その組み合わせを暗号として使うこともあったそう。

五色米の組み合わせ

携帯電話が当たり前となった現代には、
むしろロマンチックと感じてしまう。

 

手裏剣をはじめとした
さまざまな道具も紹介されており、見応えは満点。
数々の忍者道具
幅広い範囲での忍者の博識さ
度肝を抜かれてしまった。

症状に合わせて作られていた薬。
▲症状に合わせて作られていた薬。

これほどのスキルを持っていたら、
もうあらゆる職業に転職可能だねー。

 

———最後に「心」を磨く

最後は、精神医学の観点から、
忍者の精神統一術や洞察力、記録術などを学ぶ。

体の動きに合わせて映像が変化する「ナンジャ大滝」では、
大人もキャッキャすること間違いなし♪

ポーズをとってみた。
▲キャハハハ~♪

———修行を終えて・・・

さまざまな超人伝説を持つ忍者。

科学の視点からひもとくと、
その超人性は、
人間の持つ潜在的な能力を最大限に高めるために
常日頃から心技体の鍛錬を積み重ねた努力の賜物であったことがよく分かった。

恐れ多いが、忍者認定書がもらえちゃう。
▲恐れ多いが、忍者認定書がもらえちゃう。

 

 

———三重の多彩な魅力を紹介する展示エリアも

企画展「忍者ってナンジャ!?」での修行を終え、
せっかくなので、展示エリアへ。

壁一面の展示

360°の景観パノラマに包まれた展示空間で、
三重がもつ魅力や特色を、
「自然とともに生きる」
「三重の多様で豊かな自然」
「三重をめぐる人・モノ・文化の交流史」
という3つのコーナーに分けて紹介されている。

 

———「自然とともに生きる」コーナーから

まず、寄せ木細工の
三重県の大地の展示。

三重県は形状が長いため、色々な地層が見られる。

現に、県北と県南とで
大きく異なる地質構造となっている。
三重の地形を説明する大野館長。

 

続いて、初めて知ったトバリュウ

ゾウよりも大きい
▲ゾウよりも大きい

鳥羽市で
中生代白亜紀の地層から見つかったトバリュウ。

竜脚類のティタノサウルスの仲間に分類されている。

 

———「三重の多様で豊かな自然」コーナーから

三重県は南北に長く、
海や山岳地帯、平野部、盆地部など多彩な地形があるため、
地域気候特性はさまざま。

このコーナーでは、
三重県が誇る多様な生態系を再現している。

剥製の猿や熊、よく見ると昆虫までも!

本物の猿? いいえ剥製です。

 

———休憩用途だけではないベンチ

展示エリアの所々に設置された木のベンチ
一脚ごとにデザインが異なっている。

ベンチ

これは視覚に障がいがある方の
案内設備になるよう考えられている。

 

———「三重をめぐる人・モノ・文化の交流史」コーナーから

三重県各地の集落の、
風景や季節のリズム、食や祭りの文化など、
特色が紹介されている。

自然と共存する暮らしがよーく分かる。

伊賀地方にて、集落の境に架けられていた縄。
▲伊賀地方にて、集落の境に架けられていた縄。

また三重県は、
東西文化の結節点として、
昔から人・モノ・文化の交流が盛んなところであった。

人間模様やさまざまな伊勢参詣や東海道の物資事情等、
現代の三重県に通ずる基盤が理解できる。

中でも面白かったのが、
歴史上の人物がアイコンで散りばめられた液晶画面。

興味のある人を選択すると、
縁ある人物たちがピピピッとつながり、相関図のように表示される。

ピッと押せば相関図が表示される。

展示エリアをじっくり回り、約2時間。

関心を持って見ると、
自分を取り巻く世界がいかに奥深いか気付かされる。

この1日で、
三重県の魅力と面白さをたくさん発見することができた。

あー楽しかった!!

 

———おまけの裏ミュージアムはすごいにおいだった

帰りにのぞかせてもらった「液浸・剥製標本製作室」
普段は関係者以外立ち入り禁止ゾーン。

ドキドキしながら部屋に入ると、
ものすごい異臭。

見慣れないものが並んでいるが・・・

なんていうのだろう・・・獣臭??

若干ふらつく私をよそに、
スタッフの皆さん方はまったく普通の様子。

—に、においがすごいですね。

スタッフ:え、そう? 昨日亀を解剖したからかな。

骨を洗う。

そうカモシカの骨を洗いながら答えてくれた。

 

 


忍者ってナンジャ!?

■企画展「The NINJA ~忍者ってナンジャ!?~」■

場所:三重県総合博物館(三重県津市一身田上津部田3060)

期間:2016年10月25日(火)~2017年1月9日(月)

休業日:12月19日・26日・29日~1月3日

時間:午前9時~午後5時(平日) 午前9時~午後7時(土・日・祝)
※展示室への入場は、閉場時間の30分前まで

観覧料:一般800円、学生480円、高校生以下無料
基本展示:一般510円、学生300円、高校生以下無料
セット券:一般1,040円、学生620円、高校生以下無料

 

1月7日(土)、9日(月・祝)には、子ども忍者衣裳体験も行われます!

簡単な忍者衣裳を着て記念写真ができます! これで君もニンジャ!?

時間:10時~11時30分、13時30分~15時

対象:小学生以下 ※企画展の観覧券が必要。申し込みは不要です。