三重県で育児男子が増加中!? 男性の子育て応援プロジェクトをレポート

2018.11.16

ママライター 森下裕美子

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率先して子育てを行う男性=イクメン、部下の育児やワーク・ライフ・バランスに理解のある上司=イクボスといった言葉が一般的になり、〝男性が育児をするのは当たり前〟という世の中になってきつつあります。が、わが家のように、ワンオペ育児(仕事、家事、育児のすべてを1人でこなさなければならない状態)の家庭もまだまだあり、育児に抵抗のある男性も少なくないように思います。そんな中、三重県では育児男子が増加しているそう! 現状を探るために、ママライター森下裕美子が現地を訪ねました。

 

「みえの育児男子プロジェクト」=安心して子育てできる環境には男性の育児参画が欠かせない

三重県では男性の育児参画を推進するために、2014年度から「みえの育児男子プロジェクト」という活動を始めています。このプロジェクトを推進・実行する、三重県子ども・福祉部 少子化対策課少子化対策推進班の川端賢一(かわばた けんいち)さん、青木宣宏(あおき のぶひろ)さんにインタビューしました。
◇男性の育児参画に関するプロジェクトを推進する理由を教えてください。

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青木さん「厚生労働省の『第14回21世紀成年縦断調査』によると、第2子の出生は、夫の休日の家事や育児時間の長さと関係し、夫の家事・育児に関わる時間が長いほど、2人目の出生率が上がるという結果になっています。三重県でも少子高齢化が進む中、安心してお子さまを生んで育てていってほしい。そのためには、男性の育児参画は欠かせないと考え、このプロジェクトをスタートしました」

◇三重県知事・鈴木英敬(すずき えいけい)さんも育休を取って話題になりましたね。

川端さん「鈴木知事は、2012年と2016年に育休を取得しました。トップが率先して育休を取ることで、県の男性職員に『育休を取っていいんだ』『育休を取ろう』というポジティブな考えが広がり、また、県内企業の方にも影響を与えたと思います」

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▲ご自身も、実は育児男子という川端さん(写真後列右)は、4人の男の子のパパ。取材時も、家族総出でイベントに参加されていました。

川端さん「次男が生まれたときを最初に3度、育休を取得しました。子どもが昼寝したら、あれこれ用事を片付けようと考えていても、寝てくれなかったり、突然泣き出したり、予定通りにいかないことばかり。それに、子どもとずっと一緒にいると、たまには大人と会話したいと思うんですよね。育児中には、息抜きする場や自由にできる時間が必要だと痛感しました」

青空の下で遊びながら子どもと触れ合い、子育ての楽しさを知るイベントを開催

「みえの育児男子プロジェクト」は、男性の育児参画を推進するためにさまざまなイベントを展開しています。取材に伺った日には、多気郡明和町の「いつきのみや歴史体験館」において、遊びながら子どもと触れ合い、育児の楽しさを体感するイベント「父子で体験!外遊びの今・昔」が開催されていました。斎宮歴史博物館で行われていた特別展「イクメン!?-平安貴族の子育てパパ宣言!!-」の開催にあわせたコラボ企画で、父子で今の鬼ごっこ(スポーツ鬼ごっこ)と昔の鬼ごっこなど、現代と昔、両方の外遊びを体験できるという内容です。

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▲当日は12組の親子が集合。父子だけでなく母子も参加し、にぎやかな雰囲気でした。

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▲前半は、斎宮にちなみ、紙で平安時代の帽子を作ります。紙を折り曲げたり、テープで止めたりするのを手伝うパパたちの姿が見られました。

後半は、斎宮跡歴史ロマン広場で、親子で体を動かして遊びます。

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▲平安時代に行われていたという昔の鬼ごっこ「ことろことろ」を体験。参加者はそれぞれ「親」「子」「鬼」の役になり、「親」の後ろに「子」が一列に並びます。「鬼」は「親」のガードをくぐりぬけ、一番後ろの「子」に触れば勝ち、というルール

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▲古代の遊びのあとは、現代の遊びです。インストラクターの指導のもと、鬼ごっこにスポーツ要素を加えた「スポーツ鬼ごっこ」を体験しました。チームに分かれ大人も子どもも入り混じって、相手陣地の宝を取り合います。

この日のイベントに参加された育児男子にお話を伺いました。

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▲11歳と6歳の男の子2人と参加された吉村さん。「妻は土・日曜も仕事をしているので、週末の子どもの世話や食事作りは、僕の担当です。今回は面白そうなイベントがあると聞いて、参加しました。うちは共働きなので、家事も育児も、できる方がやろうという考え方ですね」

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▲津市から来られた田中さん。10歳と8歳の2人の男の子のお父さんです。「子どもと遊ぶことが好きで、休みの日はほとんど、息子たちと遊びに出かけています。夫婦というチームワークの中で子どもを育てることは、僕にとっては当たり前のことです」

 

「ファザー・オブ・ザ・イヤー」や専門家による子育て講座、「育児男子倶楽部」など多彩な活動を展開

そのほかにも、「みえの育児男子プロジェクト」では、さまざまな活動を展開しています。引き続き、川端さんと青木さんに話を伺いました。

 

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▲昨年開催された第4回ファザー・オブ・ザ・イヤーの表彰式の様子

 

◇素敵な子育てをしている方を表彰するという「ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ」について教えてください。

川端さん「パパの育児参画やイクボスに関するエピソード、育児と仕事との両立に関する実践事例などを募集する取り組みです。子育て中のママなどで構成される審査委員が選考します。平成26年からスタートし、今年で第5回となりました。応募数も年々増えていて、育児男子プロジェクトの中心的な活動になっています。今年の表彰式は12月に開催予定です。」

 

◇専門家による無料の子育て講座も実施されていますね。

青木さん「『男性向け子育て応援講座』は、元・小学校校長、コーチングスキル指導者などの講師を、希望する団体・グループに派遣。子どもの発達や子どもとの関わり方などを学べる講座です。講師料は無料で、これまで市町の子育て関係機関、地域団体、企業などで実施しました」

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▲こちらは実施された応援講座の一つ。「たった4つの言葉が、子どもの能力を引き出す! 子どもが主役! 大人は名脇役!」というテーマでの講演でした。講師のNPO法人子どもアイデア楽工理事長・山上敏樹(やまがみ としき)さんは、桑名市の廃校を活用し、遊びながら学ぶことで、2つのソウゾウリョク(想像力・創造力)を高める“能動体験型”学習施設を立ち上げられています

◇育児男子の横のつながりを深める活動もされているとか?

川端さん「職場が異なるパパが昼食を食べながら情報交換を行ったり、ゲストを招いた講演を聞いて意見交換したりするなど、企業や団体の枠を超え、育児についての情報交換を行う『みえの育児男子倶楽部』などを実施してきました」

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企業内で育児男子への理解を深め、男性の更なる育児参画の推進をめざす

男性の育児参画には、男性が働く企業の理解も不可欠! その点についても、三重県ではさまざまな活動を行っているようです。

◇知事自らが参加される「育児男子トーク」について教えてください。
川端さん「鈴木知事が県内の企業を訪問し、子育て中の男性従業員やスタッフと、男性の育児参画について意見交換しています。毎年テーマを設定してトークを実施しており、昨年度は『男性の育児休業による仕事や家庭への影響、育児休業取得の推進に向けた課題』について意見交換しました」

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▲2017年10月に実施した「育児男子トーク」では、津市に本店を置く百五銀行を鈴木知事が訪問。育休を取得した行員とその上司が出席されたそうです

◇こういった活動のおかげか、仕事と家庭の両立を応援する“イクボス”が、三重県では急増しているそうですね。
青木さん「3年前に『みえのイクボス同盟』を発足。職場でともに働く部下の仕事と家庭の両立などを応援し、誰もが働きやすい職場づくりに取り組む企業経営者などに参加いただいています。当初、参加企業は約80社でしたが、現在では175社にまで拡大しています。2017年には、NPO法人ファザーリング・ジャパンによるイクボスを推奨する自治体の施策充実度ランキング都道府県部門で、三重県が1位に選ばれました。イクボス同盟に参加する企業や経営者が増えることで、男性の育児参画だけでなく女性の社会進出の拡大につながることを目指しています」

そこで、実際に「みえのイクボス同盟」に参加されている鈴鹿市の建設工事会社、イケダアクト株式会社の代表取締役・田中久司(たなか ひさし)さんにお話を伺いました。

◇イクボス同盟に参加しようと思ったのはなぜですか?

イケダアクト③

田中さん「従業員20人ほどの会社ですが、従業員の幸せを何より大切に考えています。プライベートを大切にすることが、ひいては、仕事でも高い成果を生むことにつながるのではと思います。もともと、従業員が、奥さまの3人目の妊娠が判明したときに定時退社宣言をしたエピソードで、第2回『ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ』を受賞しました。その後、夏休みに孫を預かることになった従業員が、孫を連れて出社し、ほかの女性従業員も子どもを連れてきて、打ち合わせ室が“にわか保育園”になったんです(写真上)。そのエピソードで、第4回『ファザー・オブ・ザ・イヤーinみえ』を受賞。これらの受賞もきっかけになり、会社としても従業員のワーク・ライフ・バランスを重視すべきだと考え、イクボス同盟に参加しています」

これほどまでに、三重県の育児男子が熱いとは! 正直驚きました。川端さんは、「子どもとの関わり方は、家庭や状況によって違うもの。育休や子どもとの時間の中で、家庭ごとのより良い育児法を見つけてもらえればと思います」。青木さんは、「私たちの活動は、すぐに成果が出るものではありません。長期的スパンで継続し、さまざまな企業や団体と関わりながら、三重県全体に大きなうねりをもたらすことができればと考えています」とのこと。三重に住めば、パパ(未来のパパ)が素敵な育児男子として鍛えられそうです。さらに男性の育児参画のムーブメントが、三重県から全国に広がることも期待したいですね。

 

三重県子ども・福祉部少子化対策課が主催する、親子で楽しめるイベントが開催されます。

「第13回子育て応援!わくわくフェスタ」
日時:2018年11月23日(祝・金) 10:00~16:00
場所:輪中ドーム(桑名市長島町西川地先)
入場料:無料
内容:レジ打ちなどの子どもの仕事体験や遊びゾーン、工作、子育て情報などさまざまな企業・団体がブースを出展。さらに、子どもたちによる演奏やダンスなど楽しいステージもあり、親子で楽しめるイベントが盛りだくさんです。
問い合わせ:三重県子ども・福祉部少子化対策課(電話059-224-2269)

<今回紹介した情報>

★みえの育児男子プロジェクト
http://www.pref.mie.lg.jp/D1KODOMO/000117883.htm

★みえのイクボス同盟
http://www.pref.mie.lg.jp/D1KODOMO/000188787.htm

★男性の子育て応援講座
http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0323600003.htm

 

<今回取材した施設はこちら>

★いつきのみや歴史体験館
住所:三重県多気郡明和町斎宮3046-25
電話:0596-52-3890
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで) 月曜休館
http://www.itukinomiya.jp/

★斎宮跡歴史ロマン広場
住所:三重県多気郡明和町斎宮
電話:0596-52-7138
時間:散策自由
http://meiwa.sub.jp/(明和町観光協会)

★三重スポーツ鬼ごっこ愛好会
http://mie-onigokko.org/

■関連情報
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つづきは三重で「『農家に転身!自然の中で子育てを』南伊勢町に移住したファミリーを密着取材
http://www.mie30.jp/live/7074

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