ベビーカーでお出かけ「伊勢シーパラダイス」 子連れファミリーに人気の理由は!?

2017.12.13

ママライター 森下裕美子

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子ども連れファミリー層に圧倒的な人気!

子育て中のファミリーにとって、旅行やお出かけはワクワクする反面、気になることが多いもの。「ベビーカーで動きやすいの?」「段差や階段は?」「小さな子どもが喜ぶ内容なの?」「おむつ替えや授乳スペースは…?」。考えはじめるとキリがなく、せっかくのお出かけが面倒になることも。

そんなファミリーにオススメなのが、地元では“シーパラ”と呼ばれている「伊勢夫婦岩ふれあい水族館 シーパラダイス」(以降、伊勢シーパラダイス)です。

実は三重県では「日本一のバリアフリー観光県」をめざして、さまざまな取り組みが行われています。伊勢シーパラダイスもそんな施設の一つで、三重県の中でも、ベビーカー利用の子どもがいる家族に人気が高いとか。私は関西在住ですが、周囲のママ友に聞いてみたところ「子どもと一緒に楽しめたよ」という声が多く上がりました。そこで、子育て真っ最中のママライターである私、森下裕美子が伊勢シーパラダイスを訪れ、その魅力をリアルレポートします。

◆動物との“距離感ゼロ”を掲げる、
ド迫力と感動の水族館

外観
“距離感ゼロ”というキャッチフレーズの通り、伊勢シーパラダイスの人気の理由は、たくさんの動物と遊んだり、さわったりと、ふれあえる楽しさにあふれていること。しかも、赤ちゃんや小さなお子さんでも楽しめる工夫が満載なのです。今回は子連れでも楽しめるポイントを、ベビーカーでも移動しやすいバリアフリー部分とともに紹介します。

エントランスには「夫婦トド(めおとど)」の水槽の前を抜けて向かいます。通路はフラットなので、ベビーカー移動もラクラクです。

トド
先に進むと、エントランス横の大きな水槽から外に現れたのは、全長3メートル、体重1トンの大きなオスのトド! 世界でも伊勢シーパラダイスでしか行っていないという、トドとのふれあいは、水族館に入場しなくてもOK、おまけに無料です。とても大きくて強そうなトドですが、実は臆病な性格なのだそう。間近で見ると、かわいかったですよ。取材時も、たくさんの小さなお子さんが、トドとタッチしていました。

エントランス
中に入ってみましょう。まずは1階。屋内エリア、海獣広場、魚館に分かれていますが、ベビーカーを押しながら回りやすいつくりになっています。

モルモット
屋内エリアの人気はモルモットです。震えているような仕草が、たまらなくかわいい! 座り姿勢ができるお子さんなら、ひざの上にモルモットを置いて、さわらせてもらえます。

ペンギン
屋内エリアでは、土の上で生活するペンギンの暮らしも垣間見ることができます。ペンギンが生活するのは氷の上や水中では?と思っていたのですが、実はペンギンのほとんどの種類は、土の上で暮らしているそう。通路近くにある透明ボックスの中にも、ペンギンが。やわらかい毛並みや足先などを、間近で細かく観察できます。

次は、海獣エリアへ進みましょう。

 

◆海獣広場ではカワウソやアザラシとのタッチも

セイウチ
こちらは、大きなキバとヒゲが特徴のセイウチです。2頭のセイウチが観客のすぐ目の前に登場し、散歩しているところをタッチできます。あまりの迫力に、ちょっぴり怖がるお子さんも。ベビーカーでもすぐそばまで寄れるので、小さなお子さんもふれることができますよ。

ツメナシカワウソ
飼育スペースにいるツメナシカワウソと握手ができる穴は、お子さんの手が届くところにも開いています。ツメナシカワウソは日本に7頭しかおらず、そのうちの4頭が伊勢シーパラダイスで生活。しかも、握手できるのは伊勢シーパラダイスだけだそうです!

ゴマフアザラシ
「ゴマちゃん」ことゴマフアザラシは、子どもに人気です。こちらは、三重県内から祖母、ママ、10カ月のべビーの3人で来ていたファミリー。「小さな子どもと出かけるには、こぢんまりしたシーパラが、ちょうどいいです」とのこと。

イルカプール
奈良県から日帰りで来ていた家族は、なんと、この日がお子さんの2歳の誕生日! お祝いにどこに行こうかと考えたとき、妊娠中にパパとママがデートで来たことを思い出し、たくさんの動物とふれあえる伊勢シーパラダイスを選んだそうです。

こちらのイルカプールでは、イルカとのキャッチボールができます。ただし、イルカの気分次第で、相手をしてくれないこともあるとか…。

アシカショー
開園当時から変わらないレトロなアシカ館は、ド迫力のショーが人気です。見てください、アシカと観客席の、この距離感! お子さんが間違えてプールに飛び込まないように、低い仕切りが置かれていますが、この近さは私もママとして、ド肝を抜かれました。輪投げなど観客参加型のコンテンツもあり、心をわしづかみにされた状態です。

アシカショー段差
アシカ館の入口部分には広いスペースがあるので、ベビーカーを置くことができます。観客席の上段部分は階段状ですが、段差が低いクッションフロアになっています。

 

◆解説ボードやエプロンなど、
スタッフの気配りが感じられる魚館

魚館の工夫
魚館には、アニメ映画で人気のカクレクマノミ(通称ニモ)や、日本で一番長生きというノコギリエイなどがいます。スタッフによる手書きの解説ボードは、動物に興味を持ち始めたお子さんの勉強になりますね。

イワシ
一定方向に泳ぐイワシの群れ。銀色に輝く姿がキレイで、水槽にへばりついて見ているお子さんもいました。

エイにタッチ
手のひらサイズの小さなエイに、タッチもできます。「しっぽ部分には毒があるのでさわらないで」と、安全面への注意喚起も徹底していました。ヌルッとした触感が、ヤミツキになりますよ。

エプロン
動物にさわりたいけれど、服が濡れたり汚れたりするのが気になる人のために、キッズ用エプロンが用意されています。ママにうれしい、大人用のエプロンもありましたよ。

 

■充実の授乳室や2階には
ベビーのお昼寝にぴったりなホールも

1階の主な生きものを紹介したところで、子連れで気になるハード面を見てみましょう。写真は魚館の横にある授乳室です。
授乳室

 

授乳室の中
入ってすぐの場所に、おむつ交換用のベビーベッド(写真奥)が2つ置かれています。授乳スペースはカーテンで仕切るタイプで、こちらも2つ用意されています。トイレは改装が追い付いていないということで、洋式のほか、和式もありました。

2階で、家族連れにうれしい場所を発見。「海底ごろりんホール」は、靴を脱いで寝転がったり食事をしたりしながら、水槽を泳ぐ魚を眺めることができます。2階まで10数段の階段を上がる必要がありますが、これは上がる価値ありです!

2階
ホールでは、のんびりくつろいで長居する人が多いとか。冬にはこたつも登場するそうで、ますますリラックスする人続出! ベビーのお昼寝スペースとしても重宝するはず。こんなにくつろげるスペースがある水族館なんて、ほかにはないですよね。

森下休憩
森下も寝転がってみました。薄暗くて静かな空間なので、これは寝てしまいます!

 

◆伊勢シーパラダイスの広報担当が語る
「バリアフリーは楽しさの提供」

今回、伊勢シーパラダイスを案内してくださった広報担当の岩山 慎(いわやま しん)さんに、取り組みについて聞きました。
シーパラ担当者
右が、伊勢夫婦岩ふれあい水族館 シーパラダイスの広報を担っている岩山さん。

―平日でもお子さんを連れた家族が多く来館されていますね。
岩山さん「当館は約50年前に開園し、現在、200種類以上の動物を見ることができます。世界でも珍しい、動物とのふれあいにこだわるのは、来ていただいた方に楽しんでもらいたいという一心から。
20代メインのスタッフが、常に“こんな工夫をすればお客さまが喜んでくれるはず”というホスピタリティーで、新しいことにチャレンジしてきました。例えば、4時以降に入館されると本来イベントはないのですが、スタッフの判断で急遽、動物を外に出すこともあります。そんな小さな心配りの積み重ねが、ファミリー層からいただく支持につながっていると思います」

―子連れでも利用しやすい、バリアフリーについて対応を教えてください。
岩山さん「古い建物ですが、できる限りのバリアフリー化は行っています。ただ、構造や費用の面から、階段や段差が残っている部分もあります。すべてを改装すべきなのかと思ったこともありましたが、何のためのバリアフリーなのかを徹底的に考えました。
施設の使いやすさ、動きやすさはもちろん必要ですが、それ以上に私たちが大切に考えるのは、楽しさを提供すること。ストレスなく動物を見たり、ふれあったりできれば、きっとまた来てくださるはず。不自由をなくすために、ハードで補えない部分は人、つまりスタッフの配慮でカバーしています」

 

◆めざせ日本一のバリアフリー観光地
ベビーカーの無料レンタル&乗り捨てという魅力的なサービス

ベビーカーを使いたいけれど、持って行くのが面倒…という人に耳よりなお知らせ。NPO法人(特定非営利活動法人)「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」が、「どこでもチェア!」というサービスを行っていて、鳥羽駅周辺の7カ所でベビーカーや車いすの無料レンタルができるのです。

このほか、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでは、バリアフリーの宿泊先紹介、旅行アドバイスも行っています。近鉄鳥羽駅前のショッピングセンター「鳥羽一番街」1階にある、同センター事務局長の野口あゆみさんを訪ねました。
バリフリ 野口さん
野口さんによると、ベビーカーの貸し出しを始めたのは、国の事業で鳥羽駅ボランティアガイドや高齢者、障がい者へのサポート・調査を、鳥羽駅で行っていたことがきっかけなのだそう。

「夏休み期間だったので、お子さん連れのご家族を多く見かけたのですが、電車で寝てしまったお子さんに、大きな荷物を抱えたママたちがとても疲れた顔をしているのが気になったんです。
なぜ、ベビーカーを持って来ないのかと聞くと、置き場所に困るからという答えが返ってきました。そこで、バリアフリーという観点から、そのようなママのためにベビーカーの貸し出しをやるべきだと思い、2005年から無料レンタル事業を始めました」

スタート時、ベビーカーは鳥羽市民に呼びかけ、不要になったものを譲り受けたそう。「ママたちがベビーカーを持って来てくださるときに、ボランティアとしてお手伝いしたいけれどお子さんがいて時間的に難しいので、せめてモノでお手伝いできれば、と言ってくださる方も多かったですね」
どこでもチェア
そのような市民の善意のもとにスタートした「どこでもチェア!」は、現在、鳥羽駅周辺の7カ所のレンタル&返却ステーション、さらに、提携先の観光施設や旅館で返却が可能。つまり、乗り捨てができるということです。

「お子さまが乗らないときは、ベビーカーはただのお荷物。邪魔になればすぐ返却できるよう、乗り捨てサービスを可能にしました。雨の日には利用率が下がることを考慮し、レインカバーも標準装備。利用者の方と直接話すことで、本当に必要な情報を知ることができます。バリアフリーは机上で考えるものではなく、それを必要としている方の声に耳を傾けることが、実のあるサービスになるのだと思います」

さらに、三重県では、赤ちゃんや子育て中の家族を見守り応援する「WE ラブ赤ちゃんプロジェクト」(運営会社 エキサイト株式会社)の趣旨に共感し、行政では初めて、その取り組みに賛同しました。県オリジナルの「赤ちゃん泣いてもええんやに!」ステッカーを配布するなど、赤ちゃんを抱えた人に対して、“気兼ねすることないよ!”という意思表示を施設や店舗、県民が発信することで、よりいっそう子育て世代にやさしい街へと変化し続けています。

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▲「赤ちゃん泣いてもいいんやに!」のステッカー

「日本一のバリアフリー観光県」をめざす三重県に目が離せません!

今回紹介した施設はコチラ
★伊勢夫婦岩ふれあい水族館 シーパラダイス
住所:伊勢市二見町江580
電話:0596-42-1760
時間:9:00~17:00(季節により変更あり)
料金:大人1,600円、小・中学生800円、3歳以上400円、65歳以上1,400円。※3歳未満は無料。障がい者割引あり。
https://ise-seaparadise.com/
★NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター
住所:鳥羽市鳥羽1-2383-13、鳥羽一番街1階
電話:0599-21-0550
時間:9:00~17:30 、木曜休(繁忙期は無休)
http://www.barifuri.com/

関連情報
つづきは伊勢市で

つづきは鳥羽市で

三重県バリアフリー観光ガイド「みえバリ」
三重県では、NPO伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの調査を元に、各地の施設を調査したガイドブック「みえバリ」を発行。今回紹介したベビーカーの利用者だけでなく、障がい者、高齢者、妊婦、杖を使う人など、移動に困難を伴う状態でも、三重県で行きたいところや楽しみたいことを実現できるよう、観光スポットのポイントもしっかり押さえられています。Webサイトから、デジタルブックのダウンロードができます。

行政初! 三重県が「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」に賛同