三重の次代の味を担うのは現役高校生かも!?

2019.2.1

以前の権限は「寄稿者」 グルメからエンタメまで 佐野 興平

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海や山の幸が豊富な三重県。今回は、三重の次代を担う高校生たちが作り出すグルメをクローズアップします。高校生グルメといえば、テレビドラマのモデルにもなった三重県立相可高等学校(多気町)のレストラン「まごの店」が有名ですが、実は県内あちこちの高校で、新しい三重名物をめざし、さまざまなメニューが生まれているんです。三重県立水産高等学校(志摩市)の「ボニータ」の活動をメインに、三重県立伊賀白鳳高校(伊賀市)のパティシエコースの取り組みも紹介します。現役高校生たちの頑張りやいかに! ※記事中の価格表記はすべて税込み。

 

地元の魅力を発信したい!三重県立水産高等学校では自分たちが取った魚を商品化

まずは三重県立水産高等学校の活動をレポート。水産資源科アクアフードコースの2、3年生、計33人で構成されるグループ「ボニータ」では、地元の食材をつかった商品開発やPR活動を行っています。

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こちらが商品開発やカツオ解体ショー&商品の試食・販売などを行う「ボニータ」のメンバーです。

そもそも三重県立水産高等学校の商品開発は、約10年前、志摩市水産課から「地元の食材を使った商品作りに協力してほしい」と依頼があったことがきっかけで始まった取り組み。納得の商品ができたものの、認知が広まらず、販売につながらなかった経験から、地元のメーカー・スーパーとの協力体制を作り、商品開発だけでなく、PR活動にも力をいれるようになったのだとか。

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ボニータの活動について、3年生の田邉光莉(たなべ ひかり)さん(写真左)、稲山未姫(いなやま みき)さん(同右)に聞きました。

◇まず「ボニータ」について教えて下さい
田邉さん「開発した商品の定着のために、PR活動を行うこと、さらにその活動を地元の活性化につなげることをめざして結成されました。商品開発は、以前からしていますが、ボニータと名乗ったのは2018年度からです」
稲山さん「ボニータは英語で『カツオ』、またスペイン語では『かわいい、美しい』などの意味になるんですよ」

 

全国の商業高校生の食品開発コンテストでは2年連続で特別審査員賞を受賞

三重県立水産高等学校が「ボニータ」結成前から取り組んでいる商品開発には、生徒たちが実習で水揚げしたものを含めた、地元産の魚が使われています。

こちらが、商品化されている4商品。

04_IMG_3133▲写真手前から時計回りに、「カツオのハム」972円、「カツオのマルミタコ」「カツオのキーマカレー」「カツオのミートソース」各486円

すべての商品にカツオが使われているのが特徴です。伊勢志摩エリアのスーパーや土産物店などで販売されているほか、4商品とも志摩市のふるさと納税返礼品でもあります。

2017年、2018年には、全国の商業高校生がプロデュースする“食”の商品コンテスト「商業高校フードグランプリ」本選に東海・北陸地区代表として2年連続出場。2017年は「カツオのキーマカレー」、2018年は「カツオのハム」で、特別審査員賞を受賞しています。

29_フードグランプリIMG_1396▲2018年9月に東京で行われた「商業高校フードグランプリ」本選の様子。テレビ放映もされ、話題になりました

◇商品を開発することの魅力を教えてください。
田邉さん「挑戦できることですね。例えばブリ大根のブリをカツオに変えてみるとか、新しいメニューを考えるのはワクワクします。どうすればおいしいと言ってもらえるか、それを考えるのは本当に楽しいです」

◇メニューのアイデアはどこから出てくるんですか
稲山さん「みんなでも考えますが、地元の人からアドバイスをもらうこともあります。それを実際に、味へと反映させるのもまたやりがいがありますね」

30_スペイン村メニュー001▲志摩市にあるテーマパーク「志摩スペイン村」では、開発した商品がメニューとして提供されています。

31_マルミタコ記者会見PIC_0039▲2018年7月に「カツオのマルミタコ」の販売をスタート。記者会見を行うなど、積極的にPR活動を行っています。こちらは志摩市長への報告会見での1枚

◇これからの課題、目標を教えて下さい
田邉さん「もっともっと地域の方に知っていただいて、商品が地元に根付くようにしたいですね!」
稲山さん「おいしい商品をひとつでも多く開発していきたいと思っています!」

商品開発は、学校で学んだ調理や加工の技術、知識を使い、授業の一環として行っています。2018年度は、毎週月曜の午後が3時限連続で商品開発の授業。白衣や作業着にマスクといったスタイルで、包丁や調味料を手に、生徒同士がアイデアを出し合い、授業は進められているそう。年間で15~20種ほどを試作し、試食会での反応を見た上で、商品化などを検討しています。

マルミタコ試作▲平均すると2~3週に1つのペースで、新しいメニューを考案しているというから驚きです

解体ショーや試食会、地元の人々との交流で育まれる“地元愛”

「ボニータ」のPR活動はどんなものでしょう? 2018年11月18日に志摩市のイオン阿児店で開催されたカツオ解体ショーを取材しました。当日は、解体ショーとともに、商品化されている4商品の販売と、商品化をめざしている3メニューの試食が行われました。

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ショッピングモールの1階に設けられた特設コーナーでは、午前10時から試食・販売がスタート。買い物客も興味深げに足を止めます。

商品化をめざす3メニューは、「かつおSpicyみそ煮」「オリーブとトマトのカツオ大根」「シイラパテ」。それぞれ試食用に、小さな容器に入れ、スプーンも添えて並べられていました。

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解体ショーは午前中に1回、午後から2回の計3回行われます。
「カツオ解体ショー」1回目は、解体を稲山さん。MCを田邉さんが担当します。

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今回のカツオは約7kgと大きめ。解体したカツオは見物客へ振る舞われます。

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頭、背びれ、ウロコなどを取ったあとは三枚におろす作業。「尻尾を持ってさばくのは漁師のさばき方です」と、MCの田邉さんが説明します。

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試食用の切り身にする間、MCの田邉さんは見物客にクイズを出し、回答した子どもたちに缶詰をプレゼントするなど、見物客との交流もスムーズ。さすがはキャリアのある3年生といったところです。

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試食用の切り身が出来上がりました。ショーを見ていた人たちが新鮮なカツオに舌鼓を打ちます。1回目のショーはこれにて終了です。

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午後から行われた2回目のショーでは2年生がデビュー。MCの岡(おか)さくらさんは、少し緊張気味の様子です。解体は西尾 心(にしおこころ)さんが担当。3年生がしっかり後ろから見守ります。解体ショー&試食・販売は大盛況で終了。たくさんの人に商品のことを知ってもらうことができました。

無事にデビューのショーを終えた岡さんは、「次回はペース配分を考えて、お客さんともっと交流できるようにしたいです」と話してくれました。あまり緊張しなかったという西尾さんは、「練習よりうまくできました」と、満足気な笑顔を見せてくれました。

こういったイベントを行うことに対して、高校生自身はどう感じているのでしょう? 続けて、稲山さん、田邉さんに聞きました。

◇どんなことを目的に解体ショーをしているのでしょうか?
稲山さん「試食販売はPR活動の一環です。解体ショーは、よりたくさんの人に集まってもらうために実施しています」

◇解体ショーをやっていて楽しいことは?
田邉さん「やっぱりたくさんの人に見てもらえること。そしてみんなに食べてもらって、おいしい!と言ってもらえたときは楽しいし、うれしいですね」
稲山さん「解体も最初はうまくできなかったんですが、徐々に慣れてくると、包丁の入れ方もわかってくるんですよ。きれいにできたときには達成感もあります」

◇商品開発やイベントなどで地元の人々と触れ合うことで、自分の心の変化はありましたか?
稲山さんは、「地元を大切にしたいという気持ちが強くなりました。地元に就職して、活性化できるようにしていきたいです」
田邉さん「魚離れが進む中、たくさんの人に魚のおいしさを知ってもらって、より多く食べてもらえるようにがんばっていきたいです」。

メンバーの中には卒業後、地元の食品系会社に就職する人もいるとのことです。これからもボニータのメンバーによって、地元産の魚を使ったおいしいメニューが数多く開発されるのを期待したいですね。

次回の「ボニータ」の解体ショー&試食販売が、2019年2月10日(日)にイオンモール明和店で開催されるとのこと。ボニータたちの活動をのぞきに出かけてみませんか。

 

高校生パティシエが活躍!地元の人々に向けたカフェは入場制限がかかるにぎわい

次は、スイーツ開発を手掛ける三重県立伊賀白鳳高等学校(伊賀市)にフォーカス。同校のパティシエコースは、農業学科のフードシステム科にあるコースの1つ。ここに在籍する未来のパティシエたちは、地元イベントへの参加や商品開発など、さまざまな取り組みを続けています。その中のひとつが「白鳳カフェ」。2012年からスタートしたこの取り組みは、春と冬の年に2回開催される校内行事の1つ。教室をカフェスペースにして、デザートやドリンクをセットで販売しています。

34_IMG_0243_1▲白鳳カフェの様子。たくさんの地元の人たちが集まります。

パティシエコースの教諭・中尾恭子(なかお きょうこ)さんにお聞きしたところ、提供されるケーキは、ショートケーキやガトーショコラなど、お菓子作りの基礎となる6つの生菓子と、マドレーヌなどの焼き菓子。6月の開催時には約500人の来場があり、入場制限がかかるほどの盛況ぶりだったそう。「たくさんのお客さまに来ていただけて、生徒たちは地域の方々のあたたかさを実感するとともに、普段できないことができたという達成感を感じていました」と中尾さん。

35_IMG_0174_1▲作られるケーキはどれもプロ顔負けの出来栄え。人気にも納得です

2017年度からは伊賀市の「IGABITO 育成事業」の一環として、「伊賀のあらたなお土産菓子の開発」に取り組んでいます。2018年には、地元の老舗和菓子店の協力を得て、「おいしくて長く愛されるお菓子」をテーマに、4商品を開発しました。

36_IMG_0136▲商品開発時の様子。約4カ月間、何度も試作を繰り返したそう

37_桔梗屋織居商品▲2018年に開発された商品たち。右上から時計回りに「ゆめまる」「石垣のカケラ」「DD(田楽ドーナツ)」「茶ルト」です

2018年11月に行われたイベントで、4種類をセットにして1,000円で販売。生徒たちの作ったスイーツはかなりの高評価だったそう。※今後の販売は未定。

ほかにも伊賀白鳳高校パティシエコースでは、名阪上野忍者ドライブインや伊賀白鳳高校農場の販売所で販売する焼き菓子の製作、イベントへの出店など、地元の人たちと交流し、地域を活性化するさまざまな活動を続けています。「今後は、これまで以上に地域の人に応援、喜んでいただけることにどんどん取り組んでいきたいです」と中尾さん。こちらも目が離せませんね。

クッキー▲「名阪上野忍者ドライブイン」で販売されている「伊賀忍クッキー」(プレーン、抹茶、ほうじ茶)、各5枚入り、100円。そのほか、「マドレーヌ」「スノーボールクッキー」「おいもさんクッキー」なども販売。ドライブインの注文を受けて製造し、「伊賀白鳳高校農場販売所」へも納品しているそう。※価格や内容量は販売所やイベントによって異なる場合があります

今回、取材していて感じたのは、高校生たちの明るい笑顔と真摯な瞳。彼らからは、“いい商品を作る”だけでなく、どう魅力をPRするべきか、どう地域活性につなげるかなどを、幅広く、そして貪欲に学び、次に生かそうという、フレッシュなパワーが感じられました。次代の三重県の“食”をリードする芽が、育ちつつあるようです。三重県を訪れたら、高校生グルメをチェックしてみませんか。

(掲載情報は、すべて平成31年2月時点のものです)

<今回紹介した高校はコチラ>

 

★三重県立水産高等学校
住所:三重県志摩市志摩町和具2578
電話:0598-85-0021
http://www.mie-c.ed.jp/hsuisa/

 

◇ボニータの商品が買える場所
・「カツオのハム」…磯体験施設「海ほおずき」(志摩市)ほか、イベント時に販売
海ほおずき=https://www.umihozuki.org/
・「カツオのマルミタコ」「カツオのキーマカレー」「カツオのミートソース」…「海ほおずき」のほか、伊勢志摩地区のイオン、マックスバリュ、志摩スペイン村、道の駅などで販売

 

※通販サイト「伊勢志摩逸品市場」内の「利八屋」でも販売
https://www.iseippin.com/ri8/

問い合わせは利八屋(電話:0596-37-3010)へ

 

★三重県立伊賀白鳳高等学校
住所:三重県伊賀市緑ケ丘西町2270-1
電話:0595-21-2110
http://www.igahakuho.ed.jp/

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