三重県の実は…国際日本酒コンクールからビール風呂までお酒トピックスが満載

2018.12.28

ママライター 森下裕美子

 

日本酒造組合中央会の発表によれば、2016年の日本酒の輸出額は約156億円。ここ10年で約3倍の伸び率。世界では、空前の日本酒ブームなんです! そんな中、世界的に有名なワインコンクールに日本酒部門が誕生。記念すべき第1回が三重県で開催されました。日本酒以外にも地ビールや地ウイスキーなど、実は三重県にはお酒にまつわるトピックスがいろいろ!その真相を、実はお酒好きなライター森下裕美子が確かめてきました。

世界的に権威あるワインコンクールの日本酒部門「サケ・セレクション」が三重県で初開催

2018年10月11日~13日、ワインコンクール「ブリュッセル国際コンクール(CMB)」の日本酒部門「SAKE selection(サケ・セレクション)」が三重県で初開催されました。CMBはベルギー連邦政府経済省の後援でスタートし、2018年で25周年という歴史を持つコンクール。世界中のワインの専門家やワイン愛好家に広く知られています。本部はベルギー・ブリュッセルですがコンクールは世界各地で開催され、開催地の魅力を世界へ発信することも意義の一つとしています。

3▲「サケ・セレクション」の会場となった、鳥羽市の「タラサ志摩 ホテル&リゾート」

「サケ・セレクション」の運営事務局である、百五総合研究所の代表取締役社長・荒木康行(あらき やすゆき)さんにお話をうかがいました

◇CMBが新たに日本酒部門を設けることに至った経緯についてお聞かせください。
荒木さん「G7伊勢志摩サミットのときに知り合ったCMBのイタリア人審査員から、CMBの審査員の方々が日本酒に興味を持っていると聞きました。権威あるコンクールに日本酒部門が発足すれば、日本酒市場に大きな影響を与えることになるだろう、と。2017年5月にスペインで開催されたCMBの審査会に出向き、三重県の3つの蔵元の日本酒を振る舞い、『日本酒部門を新設し、ぜひ日本で開催してほしい』と要望。『日本酒とは、こんなにおいしいものなのか』と感動された審査員の方も多く、日本酒部門の新設へと話が進み始めました」

◇なぜ、三重県で開催されることになったのでしょう?
荒木さん「「三重県は海、山、川と豊かな自然に恵まれ、古来より“美しい国”としてたたえられてきました。日本酒は“お神酒”とも呼ばれ、神事と深い関わりがあります。さらに、伊勢神宮には全国の蔵元からお神酒が供えられ、1年を通して酒造りが祈願されているんです。また、2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットでは、三重県内の蔵元で製造された日本酒が乾杯酒や食中酒に使用されました。つまり、三重県には銘酒が集まること、また日本人の精神性や心のふるさとは三重県にあるということを訴え、それを理解いただけたので、三重県での開催に至りました」

◇「サケ・セレクション」を開催した目的を教えてください。

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荒木さん「狙いは2つあります。1つ目は、高品質な日本酒の魅力を18カ国の審査員のネットワークで世界に発信してもらうこと。日本酒のコンテストは海外でも開催されていますが、日本で開催することで、併せて日本文化の魅力も発信してもらえると考えています。2つ目は、三重県で開催することで、三重県の活性化に貢献したいと考えています。将来的には日本各地で開催し、4年に1回、三重県に戻るというような形が作れればいいですね」

 

世界各地から集められた日本酒のエキスパートが審査

では、審査会の模様を紹介しましょう。初開催にもかかわらず、日本各地の277蔵から計617本もの日本酒が出品されました。

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純米大吟醸酒、純米吟醸酒、純米酒(特別純米酒)、吟醸酒(大吟醸酒)、本醸造酒(特別本醸造酒)、スパークリング日本酒、熟成古酒の7部門で審査が行われました。
審査会は3日間にわたり、審査員が公平に評価できるよう、酒の名前や酒類などは一切、明かされません。審査員の体調にも配慮し、審査会は午前中もしくは午後のみという限られた時間で、1日約30本をテイスティングします。

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日本酒に関わるソムリエ、ジャーナリスト、バイヤー、輸入業者、販売業者、酒類技術研究者など、35人の方が審査員を務められました。審査員の出身国は、フランスやイタリア、ドイツ、アメリカ、メキシコ、マレーシア、フィリピン、中国、韓国、そして日本と世界各地!

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グラスが運ばれてくると、グラスを傾けてAPPEARANCE(外見)を確かめたり、ワインのようにグラスを回してNOSE(香り)をチェック。その後、口に含んでPALATE(味覚)やBALANCE(バランス)を確認し、OVERALL JUDGMENT(顧客満足度)を判断します。

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審査員の一人で、一般社団法人日本ソムリエ協会の理事・大山淳一(おおやま じゅんいち)さんに話を聞きました。

◇審査員として参加した感想を教えてください
「多くの蔵元から優れた日本酒がエントリーされ、どれも世界に誇れるクオリティーでした。海外の審査員の方も、日本酒のレベルの高さに驚かれたようです。数年前から世界的に日本酒ブームが起こっていますが量的にも少なく、もっともっとおいしい日本酒を世界中の方に知っていただきたい。このサケ・セレクションが、その足がかりになってくれればと願います」

◇今回の「サケ・セレクション」の意義についてどう思われますか?
「日本ソムリエ協会では、2017年に日本酒に特化した認定制度『J.S.A. SAKE DIPLOMA』を発足。日本酒を含め日本の食文化の普及と向上に寄与したいと考えており、その点で『サケ・セレクション』の開催意義に共感するとともに、日本酒のPRに大きな役割を持つと期待しています」

伊勢神宮や地元の酒蔵の見学など、三重の魅力を審査員に紹介

審査会の空き時間には、三重県の魅力を知り発信してもらうエクスカーション(体験型見学会)も行われました。審査員は地元の酒蔵をはじめ、伊勢神宮、おかげ横丁、海女漁を見学。

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▲伊勢市の皇學館大学では、昼食会を開催。昼食時の乾杯酒には、皇學館大学・明和町・酒蔵が産学官連携でつくる、地元の水や米を使った“地元100%”の日本酒「神都(しんと)の祈り」がふるまわれました

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▲酒杯に使用されたのは、三重県の伝統工芸品「萬古焼(ばんこやき)」。四日市市には萬古焼の技術者を育てる「やきものたまご創生塾」があり、これらの酒盃はその修了生が手掛けたものです

※「やきものたまご創生塾」については、つづきは三重で「魅力再発見!モダンでおしゃれな萬古焼の歴史と若き担い手に迫る」で確認を。
http://www.mie30.jp/play/7247

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▲審査員のみなさんは司会者から酒杯について説明を聞き、萬古焼で乾杯酒を感慨深げに味わっていました

「サケ・セレクション」の公正かつ厳しい審査を経て、受賞酒が10月31日に決定。2018年11月21日、東京の駐日ベルギー大使館で、第1回「サケ・セレクション」の表彰式が行われました。7部門ごとにプラチナ・ゴールド・シルバー各賞、さらプラチナ受賞酒の中から部門トップの『トロフィー酒』と『特別賞』が発表されました。

プラチナ賞には三重県の蔵元も選出されました。その中から2つの蔵元に、受賞してのコメントを聞きました。

まずは、純米吟醸酒部門のプラチナ賞を受賞した「作 雅乃智(ざく みやびのとも)」を醸造している清水清三郎商店(しみずせいざぶろうしょうてん)の統括マネージャー・清水雅恵(しみず まさえ)さんにお伺いしました。

◇受賞の喜びと製品の特徴を教えてください。
清水さん「プラチナ賞を受賞できたことは大変光栄です。これも毎日コツコツと手を抜かず酒造りをしてくれている杜氏をはじめ、蔵人たちの努力のたまものだと感謝しています。『作(ざく)』は地元、伊勢平野で収穫された米のみを使用してつくっているお酒。今回受賞した純米吟醸『作 雅乃智』は、口に含んだときに花の香りが広がり、やわらかな甘みとなめらかさが特徴です。日本酒の真のおいしさを追求した一品ですので、多くの方に味わっていただきたいですね」

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▲「作 雅乃智(ざく みやびのとも)」清水清三郎商店

次に、純米酒で「宮の雪 山廃仕込 特別純米酒」、吟醸酒で「宮の雪 大吟醸」、2つの部門でプラチナ賞を受賞した宮崎本店の代表取締役社長・宮崎由太(みやざき ゆうた)さんにお伺いしました。

◇受賞の喜びと製品の特徴を教えて下さい。
宮崎さん「弊社の『宮の雪 純米酒』は、G7伊勢志摩サミットで各国首脳に味わっていただきました。そのような縁もあり、2商品がプラチナを獲得できたことは本当にうれしく思います。『宮の雪 山廃仕込 特別純米酒』は、酒母を1カ月かけてじっくり育成し、天然の乳酸菌を活用しているため、濃醇な深い味わいに仕上がっています。また、『宮の雪 大吟醸』は、三重県伊賀産の山田錦を40%まで丹念に精白し、杜氏が精魂こめて醸した大吟醸です。『宮の雪』ブランドの中でも個性が光るこれらの商品を、ぜひ一度試してみてください」

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▲「宮の雪 大吟醸」宮崎本店

 

ビールのお風呂!? 自家源泉の温泉に自社で醸造した地ビールを配合し、なめらかな湯ざわりに

まだまだ、三重県にはお酒にまつわるトピックがあるんです。

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その一つが津市のホテル「美杉リゾート」にある、掛け流しの温泉に地ビールを配合した「ビール風呂」。同ホテルの広報担当・中川春香(なかがわ はるか)さんにお聞きしました。

◇なぜ、ビール風呂を始めようと思ったのですか?

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中川さん「当ホテルでは、自家源泉の『火の谷温泉』があります。炭酸水素塩泉で、肌の不要な角質をとり、毛穴の汚れを落とす〝美肌の湯〟といわれています。また、敷地内に地ビールの醸造工場があり、美杉地区の有機米を使った『火の谷ビール』、伊賀の酒米・うこん錦と伊賀黒米を使った『伊賀流忍者麦酒忍者ビール』を製造販売しています。大浴場を改装するときに、これを活用できないかと考え、温泉に本物のビールを配合したビール風呂を思いつきました」

◇ビール風呂の特徴を教えてください。

中川さん「ビールのたるをイメージした直径約120cmの浴槽に、『火の谷ビール 伊賀流忍者麦酒』を『火の谷温泉』で約200倍に希釈し、注いでいます。ビールには生きた酵母、酵素を含む麦芽、抗菌作用があるホップ、炭酸が含まれているため、よりしっとりなめらか感を期待できます」

※希釈しているのでアルコール度数は0.03%未満ですが、未成年者や妊婦、アレルギーがある方の利用は控えてください。また、ビール風呂のある浴場は男湯・女湯が隔日で入れ替わります。

 

戦後の混乱期から製造されている三重県の地ウィスキーとは?

日本酒、ビールの次は、ウイスキーです。今回「サケ・セレクション」の純米酒、吟醸酒でプラチナを受賞した「宮の雪」や「キンミヤ焼酎」の製造元として知られる宮崎本店は、「Sun Peace(サンピース)」というブランド名の一升瓶の地ウイスキーを醸造・販売しています。宮崎本店の代表取締役社長・宮崎さんに話を伺いました。

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▲「サンピースウィスキーエキストラゴールド」宮崎本店

◇なぜ三重県でウイスキーをつくり始めたのでしょうか?
宮崎さん「サンピースウィスキーは、戦後の混乱期に、『太陽(SUN)の恵み』と『平和(PEACE)への願い』を込めて開発した国産ウイスキーです。当時は、ウイスキーを製造する酒蔵も多かったようですよ。時代とともに激減しましたが、当社は今なお、造り続けています」

◇サンピースウィスキーの特徴について教えて下さい。
宮崎さん「一升瓶入りのウイスキー?と珍しがられることもありますが、元々が日本酒の蔵元なので、それも自然な流れだったんです。仕込み水には、キンミヤ焼酎と同じ、名水・鈴鹿山系の伏流水を使用。現在、流通している『サンピース ウィスキー エクストラ ゴールド』は、モルト(麦芽)使用率を高め、グレーンスピリッツ(穀類を原料にアルコール濃度95%以上に蒸溜したもの)を使用。バランスの良い味わいに仕上げています。ロックや水割りはもちろん、ハイボールにするとコクと味わいが一層深まりますよ」

三重県とお酒のおもしろい関わりをお分かりいただけたでしょうか。まだまだ、三重県にはおもしろいお酒のトピックが眠っているかもしれません。ぜひ、お出かけして探してみてください。

 

(掲載情報は、すべて平成30年12月時点のものです)

<今回、紹介したイベント・施設はこちら>

★SAKE selection(サケ・セレクション)
https://sakeselection.jp/

★火の谷温泉 美杉リゾート
住所:三重県津市美杉町八知5990
電話:059-272-1155(予約センター9:00~20:00)
http://www.misugi.com/

★清水清三郎商店
住所:三重県鈴鹿市若松東3-9-33
電話:059-385-0011
http://seizaburo.jp/

★宮崎本店
住所:三重県四日市市楠町南五味塚972
電話:059-397-3111
https://www.miyanoyuki.co.jp/
※オンラインショップでも購入可

■関連情報

つづきは志摩市で

つづきは津市で 

つづきは四日市市で

つづきは三重で 「三重県の日本酒がおいしいワケは、オリジナル酵母と酒蔵の技にあり!」
http://www.mie30.jp/feature/6442

つづきは三重で「サミットでも注目された三重の日本酒、裏側潜入。酒蔵のまかないから学ぶ女将の愛がこもった晩酌レシピ。」
http://www.mie30.jp/eat/1511

つづきは三重で「魅力再発見!モダンでおしゃれな萬古焼の歴史と若き担い手に迫る」
http://www.mie30.jp/play/7247