「カラスミ」&「マンボウ」 三重県南部の港町で2大珍味を味わう!

2018.1.23

フードライター 高田強

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地元でしか出会えない希少な魚から
高級すぎてなかなか口にできない珍味まで

海に面した町の多い三重県。伊勢えびはもちろん、的矢(まとや)のカキ、桑名のハマグリ、鳥羽や志摩のアワビなど、名物の海産物もたくさんあります。冬は魚介がおいしい季節…ということで、情報をチェックしていたところ、三重県南部に、かなり個性的な魚介の名物があることを発見。
下の写真が“個性的な名物”です。何かわかりますか? ヒントは、左側は尾鷲市(おわせし)、右側は紀北町(きほくちょう)の魚介グルメです。
タイトル

“これは、ぜひ食べて見たい!”と、「つづきは三重で」のグルメ担当ライターの高田が志願! その珍味を求めて、現地に向かいました。※記事中の価格は税込み。

まずは、高級珍味“カラスミ”を求めて、三重県南部の尾鷲市へ…。

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訪問したのは、尾鷲港まで約400メートルの場所にある鮮魚店「はし佐商店」。こちらは、お店での鮮魚販売だけでなく、漁船も持っており、地元で水揚げされた魚介を東京・築地にも出荷しています。

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エビやイカなど、今はだいぶ減ったそうですが、それでも店頭には多くの魚介が並んでいました。

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訪問した日は、こちらも珍味と言って過言ではない活けのウチワエビが。“伊勢えびよりおいしい”という人も多いエビですが、かなりの希少種です。

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この、はし佐商店が製造する珍味が「カラスミ」。日本では、長崎県の名物として知られていますが、実は尾鷲市でも作られているのです。とはいえ、1990年代頃には、たくさん作られていたそうですが、ここ数年は、周辺の加工所も含めて生産量がガクンと減っているとか。

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生産量減少の背景にあるのは、ボラの不漁。カラスミは、ボラの卵巣を塩漬けした後、塩抜きをして、天日干しで乾燥させたものです。このボラがとれなくなり原料の価格も高騰、手に入らなくなっているそうです。

ちなみに日本以外に台湾やイタリア、スペインなどでも作られていますが、どの国でも高級珍味として扱われています。

はし佐商店は、尾鷲市を代表するカラスミの加工所。秋には毎年、テレビ局の取材を受け、「今年も尾鷲市でカラスミの生産が最盛期を迎えております」と、秋の風物詩としてニュースで取り上げられるそう。

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取材に対応してくれたのは、女将さんの橋本切子(はしもと いさこ)さん。「まずは、ひとくち食べさせてください!」と言いたいところをグッとこらえて、尾鷲市のカラスミについて聞きました。

———————尾鷲ではカラスミはいつごろから作られているのですか?
橋本さん「私が嫁いできた頃にはもう始まっていましたから、50年以上はたっていますね。その頃は、店の前の海でも、よくボラが揚がっていましてね。それで、先代の義父が、カラスミを作ってみようと始めたんだと思います」

———————最初に始めたのが先代だったんですね。ノウハウはあったのですか?
橋本さん「独学だったと思いますねぇ。今は、私が加工現場を見ていますが、カラスミを作るのはそんなに難しくないんです。ただ、手間はかかりますし、天気にもかなり左右されます」

———————大変なんですね?
橋本さん「今、一番大変なのは、いいボラを仕入れることです。今年もウチが希望しているようなボラが入らなくて、築地に魚を出荷している主人のネットワークで、各地の港から集めました。昨年に続いて今年も、ボラの漁獲量が少なくて、仕入れ値も上がっていますしね」

———————橋本さんが希望しているボラは、どのようなものなんですか?
橋本さん「サイズが大事なんです」

———————確かにこれまで見たカラスミの中で、一番大きいです。
橋本さん「干してこれですからね。元はもっと大きいんですよ。最近は思い通りのものが手に入らなくて、生産量を調整せざるを得ないんです。贈答用などで毎年、ウチからカラスミを購入していただいている方が希望されるサイズもありますし」

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▲カラスミはサイズによって価格が変わります。写真の長さ20㎝以上のカラスミで25,800円。

———————ほかに、こちらのカラスミの特徴はありますか。
橋本さん「ウチは天日干しに20日以上かけます。今年は10月下旬から11月の頭まで生産したのですが、天気が悪かったでしょ。ウチは乾燥機を使わないので大変」

———————通常2週間から3週間という話も聞きますから、長いんですね。
橋本「だからウチのカラスミは色が濃いんですよ」

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ということで、希少な2017年のカラスミを試食させていただきました。

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実は私、2017年のゴールデンウイークに台湾の台南でカラスミを食べたのですが、今回食べさせてもらったカラスミとは全くの別物。はし佐商店のカラスミは、外側は硬いのですが、中は想像以上にしっとり。口に運ぶとねっとりとして、濃厚ながらも上品な、独特の味わいが口の中に広がります。「辛口の日本酒をください!」と叫びたくなるような極上の味わい。

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ちなみにカラスミは、小さいサイズのものであれば3,000円台からあります。そして、少しお手頃なのが、写真上の生カラスミ(1,600円)。きめ細かで上品な生たらこのようで、繊細な味わいが魅力です。

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以前は京都の高級料亭にも卸していたそうで、政治家の方もこんなカラスミを食べていたのかも!? なんて思ったり。人生の記念になるような味わいでした。

 

さらなる珍味を求めて、紀北町へ。

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尾鷲市の中心部から、車を30分ほど走らせて訪問したのは、紀北町の「道の駅 紀伊長島 マンボウ」。名前の通り、こちらではマンボウが食べられるのです。

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しかも、入口脇にマンボウの串焼き屋台小屋が。これは食べるしかない! いきなりいただきます。

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ジュウジュウと焼かれているマンボウ串焼き(400円)を注文します。

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こちらが串焼き。

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こちらは唐揚げ串(400円)。

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さて、気になるマンボウの味ですが、串焼きは、かなり変わった食感。コシという表現は変なのですが、弾力がある白身魚というか、タコまではいかないのですが鶏肉にも近い印象です。しょうゆダレで焼かれた串焼きは、個人的には好み。食べ応えがいいですね。唐揚げは、さらに弾力が強い印象です。

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調理を担当している川畑栄三(かわばた えいぞう)さんに聞いたところ。こちらが道の駅になったころに販売を始めて、試行錯誤の末、今のスタイルになったそうです。

———————マンボウ串焼き、おいしかったです。
川畑さん「道の駅の名前がマンボウになったので、マンボウを出そうということになったんですけど、なかなか苦労しました」

———————どのあたりが大変だったのですか?
川畑さん「マンボウは、水揚げしてからそのまま置いておくと、どんどん水分が出てしまって、大きさが半分ぐらいになる上に、アンモニア臭も出てくるんです」

———————ニオイは全然感じませんでした。
川畑さん「水揚げ後、マンボウをすぐにさばいて、冷凍にしてしまうんです。それを焼くとニオイもなくおいしく仕上がる。この方法にたどり着くまでに、試行錯誤を重ねました。マンボウを使った商品は、道の駅の中にもいろいろありますよ」

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川畑さんのすすめで、道の駅内をチェック。こちらの道の駅は、さんま寿司や丸干しなど、魚介を中心とした紀伊長島の物産が販売されています。そして、確かにありました、マンボウの加工品。

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マンボウのみりん干し(378円)。

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マンボウナゲット(864円)なんていうのもあります。

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その横には、マンボウのスタミナ焼き(648円)が。

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道の駅の一番奥にあるレストランでも、マンボウグルメが楽しめます。

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マンボウのフライは定食(880円)の定番。串焼き同様、独特の歯応えがあり、肉厚なのでちょっと貝柱のような食感もあります。

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道の駅の店長・東良彦(ひがし よしひこ)さんに、この道の駅がマンボウづくしなワケを聞いてみました。

———————単刀直入なのですが、なぜマンボウなのでしょう?
東さん「この道の駅がある紀北町の町の魚がマンボウなんです。それで、2002年に、この施設が道の駅になったときに、マンボウと名付けられたのですが、だったらマンボウを食べてもらおうと。それで、川畑を中心にマンボウメニューを開発しました」

———————マンボウを食べるのはポピュラーなんですか?
東さん「昔から食べてはいたようです。ただ、鮮度が大事な魚なので、地元でしか消費してこなかったんです。しかも、マンボウ漁というのはなくて、こちらで使用しているマンボウも、地元のブリ漁などの網にかかってくるもの。周辺の港で揚がったら連絡をもらって購入するんです。シーズンは秋からスタートしますが、定期的に入る魚ではないので確保も大変です。マンボウを商品化されている会社もあり、仕入れではライバルになりますね(笑)。でも、今後はさらにマンボウグルメが充実していきますよ」

 

さて、こちらの道の駅では、マンボウ以外にもけっこう珍しい食べ物がそろっています。

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個人的に大好きな亀の手(1,620円)。本当の亀の手ではなく、フジツボなどの仲間で、ゆでて食べるとおいしいのです。

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こちらはウツボ(1,598円)。

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ちなみに道の駅では、ウツボの唐揚げ(300円)も食べることができます。

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ほかにはサメの味醂干し(410円)なんかもありました。

ということで、三重県の南部は珍味の宝庫ということがしっかり確認できました。高級なカラスミも、意外性たっぷりのマンボウも、心に刻まれる味わいで旅の記念になるはず。熊野古道へのハイキングや釣り、ダイビングなど、近くに行くことがあればぜひ試してみてください。

 

今回、フードライター・高田が訪れたのはコチラ
★有限会社はし佐商店
住所:三重県尾鷲市中井町1-19
電話:0597-22-0304
FAX:0597-22-0375
営業時間:9:00~16:00、土曜休。※1月1日〜3日は休み
http://www.hashisa.com/
※注文は電話で問い合わせを。2017年生産分は在庫がない可能性あり
★道の駅「紀伊長島 マンボウ」
住所:三重県北牟婁郡紀北町東長島2410−73
電話:0597-47-5444
営業時間:8:15~19:00、無休
https://www.za.ztv.ne.jp/manbou/index.html
※マンボウ屋台は、土・日曜、祝日および連休のみの営業

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