三重の新たなブランド米。「結びの神」とは?

2017.4.11

「つづきは三重で」市民記者

▲スズカトラクターさんの倉庫。どこから見ても米農家。

【取材】nari_bow

日本人には欠かせないお米。

三重県も昔から米作りが盛んで、西日本屈指の米どころとして知られています。
三重のコシヒカリや伊賀米など、さまざまな種類のお米が育てられています。
その中で、彗星のごとく現れた新たな三重のブランド米を皆さんご存知でしょうか?

 

結びの神ロゴ

その名も「結びの神」。なんだか名前からして大物感満載ですよね。

ーーー三重の風土に合わせたお米「三重23号」と「結びの神」

農林水産省の調べによると、平成28年の三重県の水田作付面積は約27,600ヘクタール。そのうちコシヒカリは82%作付けされています。現在、三重県で作られているお米のほとんどがコシヒカリです。

お米には毎年収穫後に農産物検査員による厳しい検査により、一定量の玄米の中に含まれるきれいなお米の比率などを基準に一等・二等・三等と格付けされます。

コシヒカリでいうと、過去10年(平成19年〜平成28年)の全国の一等米の比率平均は78.8%。
しかし、三重県のコシヒカリはというと、

なんと46.0%しかないんです!!

 

ーなぜ半分しか一等米にならないのか?

コシヒカリは暑さに弱く、収穫前の登熟期に高温が続くと、米の品質に悪影響をもたらします。全国的にお米産地として有名な新潟や北海道などに比べ、温暖でむしろ酷暑な三重で品質の良いコシヒカリは育てることは大変難しいのです。

そこで、三重県農業研究所では「猛暑であっても安定した収穫量と高い品質、そして、美味しい」を目標として新たなお米の開発に取り組みました。そして12年の歳月をかけ平成24年に三重の気候に適したお米「三重23号」という新品種の開発に成功しました。50万株以上の中から選び抜かれたお米です。

ーさて、誕生から5年が経ち、肝心の等級の方はどうなのでしょう?

平成28年産の「三重23号」の一等米の比率はなんと、

驚きの99.9%!!!

さらに、この「三重23号」に厳しい基準を設定し、それをクリアしたお米のみが「結びの神」として市場に出されることとなったのです。ちなみに、「結びの神」という名称は、鈴木知事が命名されたものです。

ー一体、どんな基準なのか?

(1)生産者が「みえの安心食材」の認証を受けていること

「三重の安心食材」では、慣行より化学肥料や農薬の使用量を減らしています。

(2)農作物検査規格1等格付けであること

きれいなお米であることは大前提ですね。

(3)玄米タンパク含有量が6.8%以下であること

味の保証もバッチリです。

以上の要件を満たして初めて「結びの神」になれるのです。

ーーー「結びの神」とはどんなお米なのか?生産者を訪ねてみた。

鈴鹿市で「結びの神」を生産されている、スズカトラクターの太田さんにお話を伺いました。

▲スズカトラクターさんの倉庫。どこから見ても米農家。
▲スズカトラクターの太田翔さん(右)と妻の紀子さん(左)。

スズカトラクターさんでは、約30ヘクタールの田んぼで、「結びの神」や「コシヒカリ」、「ミルキークイーン」「キヌヒカリ」「あゆみもち(もち米)」を作られています。

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ー「結びの神」についての感想は?

翔さん:やはり、倒れにくいですね。コシヒカリに比べて倒れる心配がない分、育てやすいです。米粒は大きく一粒一粒がしっかりとしています。

ー「結びの神」の規格基準は生産者から見てどうですか?

翔さん:基準はとても厳しいですが、美味しいお米を安定して作るためには必要な要件だと思います。栽培の履歴からスケジュール管理をしっかりと行い、化学肥料や農薬を抑えることて安定した品質と安心安全で美味しいお米ができるんです。タンパク含有量が6.8%を超えてくると、味に雑味が出てくると言われていて、他のブランド米でもそのような基準が設けられているものもあります。正直、収穫後にタンパク含有量を測定されるので数値が出るまではドキドキですけどね(笑)。

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お米の自社販売も手がける太田さん。「どの田んぼで、いつ、どんな作業をして、誰に販売したか」まで、完全に把握できるようトレース管理もしていて、今後もさらなるレベルアップを目指されています。現在は、地元の直売所でも販売している「結びの神」は、評判も高く、早くに売り切れになるそうです。また地元鈴鹿サーキットで開催されたF1GPの際に、「結びの神」3合を来場者に配るイベントを行ったところ、県外からも注文をいただくようになったとのことです。もっと多くの人に「結びの神」を食べてもらえるよう積極的にPR活動を行いたいと話されていました。

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▲お二人で考えられたお米のパッケージ。お米を選ぶのは女性が多いので、女性が「可愛い」と思うように心がけでデザインされたそうです。

ーやはり、食卓では「結びの神」を召し上がるのですか?

紀子さん:いや、うちはいろんな品種のお米を作っているので、料理に合わせてお米は変えてます。

ーそれは、贅沢ですね。ちなみに「結びの神」は、何に合いますか?

紀子さん:「結びの神」は、粒がしっかりしてふっくら炊き上がります。噛むほどにモチモチ感が出て、どんな料理にも合いますよ(笑)。他のお米と比べて特徴的なのが、冷めても美味しいんです。なのでお寿司やおにぎり、お弁当にもオススメです。

お二人は、時間を見つけては全国各地のお米を食べ歩き、自分たちの作るお米と照らし合わせるなど、日々研究されているそうです。もちろん、「結びの神」が合うと思ったお店へのPRも怠りません。

ーこの辺りで、太田さんが作った「結びの神」が食べられるお店はないですか?

翔さん:亀山にある「鮨 いの上」さんで使ってもらってます。二人でもよく行くお気に入りのお店です。

 

ーーー「結びの神」とはどんなお味なのか?料理人を訪ねてみた。

ということで、さっそく「鮨 いの上」さんにお邪魔しました。

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伊勢湾で揚がる美味しい海の幸や松阪牛など、地元食材を使った本格江戸前寿司のお店。

店主の井上 佳郎さんは志摩市の出身で、津市にあった寿司の名店「東京大寿司」で17年間修行をされた本格寿司職人。

▲「鮨 いの上」店主の井上佳郎さん。
▲「鮨 いの上」店主の井上佳郎さん。

ー「結びの神」を使われているそうですが。

井上さん:修行時代にお世話になった「東京大寿司」の時に、このお米に初めて出会いました。粒が大きく、しっかりしていてシャリに合うお米だと思います。あと、お米本来のふっくら感とモチモチ感はありながら、ベタつきが少ないことも選んだ理由ですね。伊勢湾の食材を使うことも多いので、三重の魚には三重の米が相性いいんじゃないかと思います。」

 

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新鮮なネタの下には、「結びの神」が。
サラッとしていながらも、一粒一粒がふっくらしていて、食べ応えもある。粒が大きい分、噛めば噛むほどお米の味が広がります。美味しい。

 

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「結びの神」は、三重県の気候や環境などの条件を活かし、試行錯誤を繰り返し作り上げたお米です。開発に携わる人、生産する人、料理する人から、食べる人に繋がっていきます。まさに「人と人を結びつける」そんな力が「結びの神」には宿っているように感じました。

皆さん、ぜひご賞味あれ!


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