海の畑で海が育てる、三重の味覚「牡蠣」を訪ねて。

2017.4.6

「つづきは三重で」市民記者

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【取材】きただまさき

三重県鳥羽市を代表する味覚のひとつである牡蠣。
鳥羽市と志摩市をつなぐパールロードを走ると、道路沿いにノボリが見え始めます。

牡蠣の国、浦村。
伊勢湾の最奥にあたる生浦湾(おおのうらわん)にはたくさんの筏が浮かび、波静かな入り江では、かつては真珠の養殖、現在は牡蠣養殖が盛んに行われています。
浦村町での牡蠣養殖の歴史は古く、木曽山系と大台山系の山々から流れ込むミネラル豊かな真水と、伊勢湾の海水が程よく混ざり合う汽水域の産地として栄えています。

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「浦村かき」のブランドで育成される牡蠣は、この豊かな海で育つ1年育成の牡蠣です。
牡蠣独特の風味と、あっさりとした後味が特長の浦村かきを目当てに、シーズン中はたくさんの観光客が鳥羽市浦村町を訪れ、パールロード沿いに並ぶ牡蠣小屋での牡蠣の食べ放題の風景は、この町の風物詩にもなっています。
焼き牡蠣に牡蠣めし、牡蠣の味噌汁など、養殖業者が営む牡蠣小屋では地元自慢の牡蠣が振る舞われて、それ目当ての観光客でにぎわっています。

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浦村町で牡蠣養殖業を営む浅尾大輔さん。
牡蠣小屋の営業がピークを迎えるシーズンは、牡蠣の出荷作業を進めながら忙しそうに海の仕事に取り組んでいます。

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浅尾さん:牡蠣の養殖は畑仕事みたいなもの。海の上の畑に、牡蠣がなる。でも牡蠣を育てるための作業は、海が全部やってくれるんです。

海の上に浮かんだ筏にはたくさんの牡蠣がつるされており、種牡蠣から大切に育てられています。

「海水の温度や牡蠣の生育状態を見極めながら、海の恵みを最もたくさんとりいれることのできる環境は私たち漁師が整えます。育成に必要な栄養や、呼吸に必要な酸素は海が与えてくれる」と浅尾さんは話す。

大阪出身の浅尾さんは、結婚を機に鳥羽市浦村町に移り住みました。
もともと漁業に関心があったわけではなく、最初は工場勤めをするかたわら、奥さまの実家の家業だった養殖業の手伝いをする週末漁業者だったそうです。
徐々に自然や季節を感じながら暮らす営みに魅せられ、本格的に漁業に取り組みだして8回目の牡蠣のシーズンを迎えています。

潮の流れや水温やちょっとした環境の変化で牡蠣の生育状態は変わるため、常に海の変化に気をつける必要があるそうです。
特に神経を使うのが牡蠣の産卵の時期。
牡蠣の稚貝は潮に流され、約2週間海を漂います。
ホタテの貝殻で作った牡蠣の種床にこの稚貝を着底させることから養殖の仕事が始まるそうですが、潮の流れや産卵時期を読み取り、効果的に稚貝を集めることができるかどうかが、養殖業者の腕の見せ所だそうです。

自然とともに暮らし、自然の声を聞く。
自分たちができる仕事を精一杯やれば、牡蠣は海が育ててくれる。

栄養が豊かな海、そして牡蠣への愛情を注ぐ漁師がいるからこそ、この地域では牡蠣養殖が大きな産業へと育っているのかもしれません。

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パールロード沿いには、浦村町のほかにもたくさんの牡蠣養殖に取り組む地域があります。
リアス式海岸が生み出す波穏やかな入り江と、豊かな海の恩恵を受けながら育つ、三重の牡蠣。
三重県を代表する食材「牡蠣」は、その濃厚なうまみに、地域の豊かな自然を感じる食材といえるのではないでしょうか。


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