紅茶を愛するスチュワートの「かぶせ茶」リポート@四日市市水沢

2016.12.9

「つづきは三重で」市民記者

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【取材】Satomiracle!

———海外で和食ブーム! そして、じわじわ日本茶ブーム。

最近、盛り上がりつつある、海外の和食ブーム。
日本茶もヘルシーな飲料として、じわじわ人気が上がっているようです。

実は、三重県は、静岡県、鹿児島県に次いで、お茶の生産量、生産額、栽培面積が全国3位のお茶どころ。

その中でも、三重県が生産量全国1位を誇る「かぶせ茶」をご存じでしょうか。

ということで、今回は、かぶせ茶で有名な三重県四日市市水沢(すいざわ)を、最近の関心事は日本茶だというスコットランド人のスチュワートがリポートします。

———さすがおどころ! 柴犬「太郎」がスチュワートをお出迎え!

水沢に入ると、見渡す限りのお茶畑の光景に圧倒されたスチュワート。

茶太郎とスチュワート

キュイン、キュイン、キュイン〜。
取材先のマルシゲ清水製茶さんに到着すると、かわいい柴犬、その名も「太郎」がお出迎え。初対面にもかかわらず、スチュワートに人懐っこく甘えていました。遊んでほしい気配満々の茶太郎でしたが、ごめんね、またね。

茶太郎

 

———近所のお茶農家、たづ子おばあちゃんに話を聞いてみた。

一緒にパチリ

生まれも育ちも水沢のたづ子さんは、かぶせ茶農家をずっと続けてきました。

たづ子さん:昔は、今のように機械や設備が整っていないから、収穫の時期になると地域のみんなが総出で作業をしていたんです。夜通し火をたいて、お茶に霜が降りないようにしていたりと、本当に大変な作業でした。

防霜ファン

今では、かぶせ茶に限らず、どの畑にもファン(防霜ファン)が設置されています。
新芽が伸びてくる時期、夜から朝にかけて気温が下がったとき、ファンが自動的に反応して温かい空気を循環させ、新芽に霜が降りないようにするためです。

日本茶の説明を聞いているスチュワート
▲日本茶の栽培方法などを興味深く聞いているスチュワート

 

マルシゲ清水製茶さんのお茶畑。
▲今回取材させていただいた、マルシゲ清水製茶さんのお茶畑。栽培面積は点在する農地を合わせて10ヘクタール、東京ドームおよそ7.7個分に相当。

 

———かぶせ茶と、他のお茶の違いとは。

マルシゲ清水製茶の加奈さんに尋ねました。

加奈さん:渋味が少なくてその代わりうま味が多く、しっかりした味という点ですね。

清水加奈さん

おいしいかぶせ茶を栽培することを代々受け継いできた清水家の加奈さん。たづ子さん同様、水沢に生まれ育った生粋の水沢っ子です。積極的に説明してくれる加奈さんのかぶせ茶への想いはそうとう深そう。

そしてその想いは、専業茶農家としてのプライドが支えているのかもしれません。
さまざまな品評会で農林水産大臣賞をはじめとする数多くの賞を受賞されています。

かぶせ茶の栽培
▲写真提供:マルシゲ清水製茶

かぶせ茶は、毎年ゴールデンウイーク前に、遮光幕を約2週間ほどかぶせて茶樹を覆って育てます。渋味のもとになるタンニンの生成を抑えて、代わりに甘味のもとになるテアニンという成分を多く抽出できるようにするためです。

かぶせ茶の栽培
▲写真提供:マルシゲ清水製茶
かぶせ茶の栽培
▲写真提供:マルシゲ清水製茶

かぶせた遮光幕を外した後、素早く収穫しないと、茶葉の色がすぐに変わってしまいます。また、タンニンを生成しはじめ渋味が増してしまうため、収穫前と収穫中は茶葉の様子を見ながら一気に作業をします。

 

———のどかな茶畑のある暮らしと人。

加奈さんの母:見晴らしのいい高台がありますから、みんなで見に行きませんか?

水沢の風景

お天気の良い日には、常滑沖の中部国際空港も見えるんだそうです。

この日は少し空が霞んでいて、遠くまで鮮明に見渡すことはできませんでしたが、夕方のここからの風景も美しいんだそうです。

スチュワートとたづ子さん

 

見渡す限りのお茶畑

加奈さん:こんなに美しい風景を見ながら、ランニングやウオーキングをしたいなって思うんですけど、水沢では、できないんです・・・。

え?どうしてですか?

加奈さん:水沢の人はみんな人懐っこくて温かくて、人に会うと知らない人でもあいさつしたり、お天気のこととか、ちょっとお話される人が多いんです。だから、走っていても歩いていても、すぐ止まらなきゃいけないし、おしゃべりすると止まっている時間が長くなって運動にならないんです(笑)。

 

———日本人が忘れかけている、お茶を飲むというぜいたくな時間。

かぶせ茶カフェ内観

かぶせ茶カフェ看板

加奈さんは、「かぶせ茶カフェ」を運営されています。

ペットボトルのお茶を飲む。それが習慣化している日本。

でも急須で入れて、何を話すでもなく、なんとなくくつろげる。そんな時間を友人や地域の方々と過ごす。

「その一連の時間をこの空間で楽しんでもらえたらうれしいなと思います」という加奈さん。

想いを語る加奈さん

お茶菓子メニューは、かぶせ茶を原料にして作っているものもあり、「かぶせ茶氷」は夏の人気メニューなんだそうです。

和と洋の2種類から選ぶことができるお茶菓子メニュー。季節ごとに内容が変わります。
▲和と洋の2種類から選ぶことができるお茶菓子メニュー。季節ごとに内容が変わります。

 

かぶせ茶カフェで資料をもとに学ぶスチュワート。
▲かぶせ茶カフェで資料をもとに学ぶスチュワート。

———「悪いことないなぁ〜」お茶がつなぐ、たづ子さんとスチュワートのホッとする時間。

渋味が少なく、甘味の多いお茶は、もしかしたらお茶の渋味がちょっと苦手な西洋の人たちにも、気軽に受け入れてもらいやすいのかもしれません。スチュワートもお茶をおいしそうに飲んでいました。

元気なたづ子さんの話を伺っているとみんなたづ子さんにくぎ付けになっちゃいます。
▲元気なたづ子さんの話を伺っているとみんなたづ子さんにくぎ付けになっちゃいます。

たづ子さんは昭和初期に生まれ、当時は英語どころか、ローマ字さえ習うこともなかったといいます。そんなたづ子さんに、今、日本茶が海外で人気があって、多くの外国人が健康に良さそうと飲んでいることについて聞いてみたところ、

「悪いことないなぁ~」

「悪いことないなぁ〜」とひとこと。
満面の笑みで応えてくださいました。

ホッとするひととき

外国人スチュワートと、地元のおばあちゃん、たづ子さんの何気ない会話。
そんな場を作っているのは、急須で淹れた一杯のかぶせ茶です。

お茶を入れるのではなく、淹れる。
かぶせ茶カフェでの2人の時間は、三重県が誇るおもてなしがつなぐ、外国人との新しいコミュニケーションのカタチのように感じました。

かぶせ茶

 

———あとがき

たづ子さん、加奈さん、加奈さんの娘さんとパチリ!

スチュワート:かぶせ茶は味がとても濃いのに渋味がなく、まろやかで香りが高く、とてもおいしかった。清水さん一家がご近所のたづ子さんを優しく気遣っているところも、ほのぼのとさせてくれました。ホッとする時間をありがとうございました。

取材以降、スチュワートは朝食に、紅茶の代わりにかぶせ茶を飲むようになったとのこと。

百聞は一見にしかず。

やはり現場を訪れて、そこの暮らしや人に触れると、本質が理解できて、自分にとっても身近な存在になるのですね。

スチュワートはかぶせ茶を飲むたびに、たづ子おばあちゃんの優しい笑顔を思い出すことでしょう。


取材協力
マルシゲ清水製茶 かぶせ茶カフェ
住所:三重県四日市市水沢町998-2
TEL:059-329-2611


そして、今年(2016年)12月10日は、全国お茶まつり三重大会式典が開催されます。

呈茶コーナー、手もみ茶実演、お茶アカデミー、演劇「茶」公演などもあり、楽しくお茶と触れ合える全国大会です。 詳しくは http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0024700008.htm をご覧ください。

第70回全国お茶まつり三重大会
▲伊勢茶イメージキャラクターの茶柱タツさんとたづ子さんが似ていると思うのは私だけでしょうか。

三重のお茶に関する情報

三重県茶業会議所

 

———おまけのおはなし

茶畑での取材中に、加奈さんの娘さんがお茶の実を拾ってきました。

お茶の実

スチュワート:それは食べられるのかな?

加奈さんの娘:食べられるよ。

ということで、じゃあ早速食べてみましょうと殻を割って中身を食べてみたら・・・。

う゛ぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ぁ・・・
苦っ!!!

加奈さんの娘さん

加奈さん:ええ〜! お茶の実なんて食べられないよ〜!

加奈さんの娘さん

こいつは一杯食わされた!

 

スチュワートと私は、皆さんに大笑いされてしまいました・・・。
みんなで大笑い!


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